「くる病」は子供の何を注意すれば良い?検査法と治療方法を医師が解説!
公開日:2025/12/27

くる病は、ビタミンD不足や何らかの代謝異常で骨の石灰化が妨げられる病気です。
成長期までの子供に発症する病気で、きちんと治療しないと骨格異常や低身長に繋がるおそれがあります。
乳幼児にも発症しやすい病気です。近年は日光浴や紫外線を避けるようなライフスタイルに変わり、ビタミンD不足が原因のくる病は増加傾向にあります。
今回はそんなくる病の診断と治療法について紹介しましょう
※この記事はメディカルドックにて『「くる病」とは?症状・原因・完治するのかについても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
くる病の検査と治療方法

どのような検査を行いますか?
- まずは全身の骨の形状をチェックし、X脚やO脚などの症状がないかを確認しましょう。赤ちゃんの場合は、触診で後頭部の骨が柔らかいかどうかなどを確認する場合があります。
- そして血液検査とレントゲン検査を合わせて栄養状態や骨格を検査し、診断項目に従って診断を下します。
診断基準について教えてください。
- まずはレントゲン検査でこの病気の症状が認められ、血液検査で高アルカリフォスファターゼ(ALP)血症であるかどうかを確認します。
- ALPは骨で多く作られている成分で、骨の病気がある時にこの数値が上昇するものです。
- この2つの項目に当てはまったうえ、低リン血症または低カルシウム血症、O脚・X脚などの臨床症状のどちらか1つが当てはまればくる病と診断されます。
- 血液成分は年齢によって異なりますので、年齢に応じた基準値に従って判断を下しています。
くる病の治療方法を教えてください。
- ビタミンDの摂取不足からこの病気に至った場合は、基本的には食事療法や日光浴による治療を行います。
- ビタミンDを多く含む食品やサプリを摂り、毎日日光浴を心がけることでビタミンDを体内に取り込み、正常な骨の形成を促します。
- ほか内臓機能の異常などがこの病気の原因である場合に必要なのが、専用薬の投薬や注射による治療です。遺伝性の場合は一生薬を服用し続ける場合があります。
編集部まとめ

くる病は成長期までの子供に起こる、骨の石灰化異常による骨格異常です。
この病気の原因のほとんどがビタミンD不足によるもので、近年はライフスタイルの変化から、病気の発症が増えています。
ビタミンDを補うためには適度な日光浴と、ビタミンDが豊富に含有されている食材を食べることが必要です。
また母乳で育てている赤ちゃんはビタミンD不足になりやすく、お母さんは妊娠中から意識的にビタミンDを摂ったり、赤ちゃんを適度に外気浴させたりする必要があります。
硬く丈夫な骨は子供の健やかな成長にとって欠かせないものです。しっかりとビタミンDを摂って、子供の健康な発育を守りましょう。