”足の曲がり”は「くる病」のサイン?3つの原因となりやすい人の特徴も医師が解説!
公開日:2025/12/23

くる病は、ビタミンD不足や何らかの代謝異常で骨の石灰化が妨げられる病気です。
成長期までの子供に発症する病気で、きちんと治療しないと骨格異常や低身長に繋がるおそれがあります。
乳幼児にも発症しやすい病気です。近年は日光浴や紫外線を避けるようなライフスタイルに変わり、ビタミンD不足が原因のくる病は増加傾向にあります。
今回はそんなくる病の特徴について紹介しましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「くる病」とは?症状・原因・完治するのかについても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
くる病の特徴

くる病とはどんな病気ですか?
- 骨の石灰化がうまく機能せず、骨が柔らかくなってしまう病気 です。
- 人は一生同じ骨を使っているのではなく、常にできあがっている骨を壊しながら新しい骨を作っていくことで、硬くて丈夫な骨を維持しています。新しい骨を作る過程には、血液中のカルシウムやリンを使用します。
- しかし、これらの成分が足りていないと硬い骨が作れず、骨が柔らかくなってしまうのです。また、カルシウム・リンを体内に吸収する時に役立つのがビタミンDです。
- このビタミンDが不足していても正常な骨を作ることができません。
- くる病は骨の成長軟骨閉鎖以前である成長期までの子供に発症し、成人が同じ症状を現した場合は骨軟化症と呼んでいます。
- 骨年齢で数えると、男子は17歳、女子は15歳までにこの病気にかかるおそれがあります。
症状について教えてください。
- 骨が柔らかくなることによる骨格異常が主な症状です。特に負担の大きい足に症状が出ることが多く、柔らかい骨が負荷に耐えられず、O脚やX脚などになることがあります。
- また足を引きずって歩いているようにみえる、歩き方に違和感があるなど歩行障害を生じることがあります。成長期にみられるのが、身長が伸びない・背骨が曲がってみえるなど発育に関する障害です。
- 骨格以外には、歯ぐきが腫れたり、ひどいむし歯になったりするなど歯に関する症状が出やすいです。
- くる病が重症の場合は、骨塩(骨密度)が不十分な弱い骨のために骨が曲がりやすい症状や足のしびれ、けいれんなどを伴う場合もあります。
原因は何ですか?
- くる病には以下の3種類があります。
- ビタミンD欠乏性くる病
- ビタミンD依存症くる病
- 低リン血症性くる病
- ビタミンD欠乏性くる病は、ビタミンD不足が原因で引き起こされます。ビタミンDは食事のほか、日光に当たることで身体の皮膚近くで作られています。
- このビタミンが足りないと、骨を作るのに必要な成分であるカルシウム・リンがうまく血液中に取り込まれず、硬く丈夫な骨が形成されません。
- またビタミンD依存性くる病はビタミンDが体内に充分あるにも関わらず、腎臓などの機能の問題でうまく働いていないのが原因です。
- 低リン血症性くる病はリンが足りていないことによって引き起こされるものですが、こちらもリン自体の摂取が不足しているケースと、臓器などの問題でリンがうまく機能していないケースに分かれます。
- この病気の原因としては、ほとんどがビタミンDの欠乏によるものです。
どのような人に多い病気ですか?
- ビタミンDの摂取不足に起因するくる病の場合は、偏った食生活や日光浴不足でビタミンD不足に陥っている人に多いです。
- 過度に日焼け対策をしている人、日照時間が少ない雪国などに住んでいる人はビタミンD不足に陥りやすいです。
- また母乳にはビタミンDが含まれていませんので、完全母乳で育っている赤ちゃんにも注意が必要でしょう。
- 最近は母子ともにビタミンD不足というケースも増えてきています。
編集部まとめ

くる病は成長期までの子供に起こる、骨の石灰化異常による骨格異常です。
この病気の原因のほとんどがビタミンD不足によるもので、近年はライフスタイルの変化から、病気の発症が増えています。
ビタミンDを補うためには適度な日光浴と、ビタミンDが豊富に含有されている食材を食べることが必要です。
また母乳で育てている赤ちゃんはビタミンD不足になりやすく、お母さんは妊娠中から意識的にビタミンDを摂ったり、赤ちゃんを適度に外気浴させたりする必要があります。
硬く丈夫な骨は子供の健やかな成長にとって欠かせないものです。しっかりとビタミンDを摂って、子供の健康な発育を守りましょう。