「GIST」を診断する”穿刺吸引生検法”とは?手術する際の入院期間も医師が解説!

消化器官に悪性腫瘍ができる病気の中でも非常にまれなのが「GIST(ジスト:Gastrointestinal Stromal Tumor)」です。
消化器官にできる「肉腫」のひとつで、がんに比べて発生頻度はかなり低い病気です。
GISTはしばしば胃がん・大腸がん・小腸がんなどの消化器官系のがんと混同されがちですが、がんとは違う病気と分類されています。
ここではGISTと消化器系のがんは何が違うのか、検査方法や治療法などを詳しく紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「GIST」とは?がんとの違い・症状・治療法も併せて解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
GISTの検査と治療

どのような検査を行いますか?
- 基本的には内視鏡検査などで腫瘍を見つけます。切除を行うことが可能であれば切除も可能です。
- しかし、胃がんなどの消化器官系のがんとは違い、腫瘍の本体が粘膜よりも下にあるので粘膜に出た腫瘍だけでは判断できない場合がほとんどです。
- 多くが消化器官系のがんとして見つかり、切除するまでもしくは組織を病理組織検査するまでGISTと診断されません。
- そのため、GISTの可能性を探るために超音波内視鏡をガイドにして腫瘍組織を採取し、「穿刺吸引生検法」という特殊な検査方法で検査を行うことがあります。
- また、すでに手術によって腫瘍を切除した場合は切除組織を病理組織検査に回して検査をする場合もあります。
GISTの診断基準を教えてください。
- GISTの本体は通常のがんよりも深い部分にあるため、胃がん・大腸がんなどの消化器官系のがんと診断されてしまうことがほとんどです。
- 手術により腫瘍を切除した後に病理組織検査をするか、「穿刺吸引生検法」を行うことでGISTと診断されることがあります。
- ただし、穿刺吸引生検法は熟練した技術が必要なことや検体の処理に人員が必要です。これらの理由から、検査を行うことのできる施設には限りがあります。
- そのため、ほとんどの場合は胃がん検診で発見され、腫瘍の手術を行った後に病理組織検査でGISTと診断されることが多いです。
どのような治療を行いますか?
- 基本的には手術による治療を行います。がんとは違い、周囲の組織ががん化することが少ないため、ほとんどが腫瘍の部分切除で対応します。
- 手術後は再発しやすいかどうかなどを判断する病理組織検査をするのが一般的です。ここで再発リスクに関する分類を行います。
- もし転移の可能性がある場合に採用されるのは化学療法(投薬療法)です。他の場所にも腫瘍が発現している場合は、再度手術を行う場合もあります。
手術する場合、どのくらい入院するのでしょうか?
- 手術の箇所・部位にもよりますが、入院期間は1~2週間ほどです。
- また、集中して全身検査するために入院していただく場合もあります。
編集部まとめ

GISTは非常にまれな悪性腫瘍です。がんとは違って消化器官の深いところにできるため、発見が遅れる場合があります。
自覚症状も他の病気と同じ症状が多いため、気がついたときには腫瘍が成長していたことも多い厄介な病気です。
また、その特徴から胃がんや大腸がんなどの消化器系のがんと診断されてしまうことがあります。
切除手術後の組織検査でわかる場合もあるため、最初はGISTと診断されないことも多いです。
ただし、がんとは違い周辺組織のがん化が少ないのが特徴です。手術は部分切除など比較的軽いものが多くなります。
再発可能性は通常の消化器官系のがんよりも少ないですが、再発予防として化学療法が行われるのが一般的です。
発生部位は胃がんなど一般的な消化器官系のがんと同じ場合がほとんどです。検診などで見つかる場合もあるので、がん検診は定期的に受けるようにしましょう。


