目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 心不全の要因の一つ「溶血性貧血の症状」は”動悸”以外に何がある?医師が解説!

心不全の要因の一つ「溶血性貧血の症状」は”動悸”以外に何がある?医師が解説!

 公開日:2025/12/15
溶血性貧血の特徴

血液は酸素や栄養素を運搬し循環させる、生きていくうえで欠かせない存在です。そんな血液が欠乏している状態のことを貧血といいます。

しかし、貧血といっても原因や特徴によって複数の種類に分類されることをご存じでしょうか?

今回はその中の1つである溶血性貧の特徴について解説します。貧血にお悩みの人も健康な体づくりを心がけている人もぜひ参考にしてみてください。

※この記事はメディカルドックにて『「溶血性貧血」とは?症状・原因・診断基準についても解説!医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

溶血性貧血の特徴

病院の白衣のお医者さん

溶血性貧血とはどのような病気ですか?

  • 冒頭で貧血を「血液が欠乏している状態」としましたが、厳密にいうと貧血とは「血液中の赤血球が欠乏している状態」をいいます。
  • 一口に貧血といっても多くの種類があり、主に以下の6つに分類されます。
  • 鉄欠乏性貧血
  • 再起不良性貧血
  • 悪性貧血
  • 溶血性貧血
  • 腎性貧血
  • がんなどの病気に付随する二次性貧血
  • 他の貧血は栄養素の不足や病気などが原因で赤血球が減ることで発症しますが、溶血性貧血は赤血球が壊れることで減ってしまう病気です。
  • 溶血性貧血には先天性と後天性があり、先天性に多いのが遺伝性球状赤血球症、後天性に多いのが自己免疫性溶血性貧血です。
  • 特に自己免疫性溶血性貧血は溶血性貧血の代表格ともされています。自己免疫性溶血性貧血は自己抗体によって赤血球が破壊されることで起こります。
  • 自己免疫性溶血性貧血は原因が不明であるため難病にも指定されているほどの病気です。自己免疫性溶血性貧血には3つの種類があります。
  • 温式
  • 寒冷凝集素症
  • 発作性寒冷ヘモグロビン尿症
  • 上記3つはそれぞれ現れる症状が異なります。
  • 温式は発熱や心不全などを起こし、寒冷凝集素症は感覚異常などの循環障害の症状、発作性寒冷ヘモグロビン尿症は悪寒や発熱がみられます。

発症した場合にみられる症状を教えてください。

  • 溶血性貧血の症状は貧血による動悸や息切れ、黄疸などが挙げられます。黄疸はビリルビン値が上昇することで起こります。
  • ではなぜ溶血性貧血になるとビリルビン値は上がってしまうのかを解説していきます。
  • ビリルビンは通常肝臓によって処理されるのですが、赤血球が破壊されることでこの処理が追いつかないほどの量にビリルビンが増加してしまうのです。
  • それによってビリルビン値が上昇してしまい、黄疸が発生します。
  • 黄疸は重篤な状態を示すものであるため、普段より白目や肌が黄色みを帯びていると感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。

原因は何ですか?

  • 溶血性貧血の原因として赤血球が破壊されてしまうことが挙げられるのですが、なぜ赤血球が破壊されてしまうのかというと、体内で赤血球に対する自己抗体をつくってしまうためです。
  • この自己抗体をつくってしまう原因については未だ明らかにされていませんが、溶血性貧血は自己免疫学的な機序によって発症することが多いとされています。

どのような人がなりやすい病気ですか?

  • 先ほどお話ししたように溶血性貧血の原因として自己免疫疾患やがんなどの病気による赤血球破壊が知られているため、これらの病気にかかっている人に発生しやすい病気であるといえます。
  • ただ、自己免疫性溶血性貧血に関して、詳細な原因は不明とされているため発症する人の特徴も明確にされていないのが現状です。
  • 「自分がなってもおかしくない病気」と考えて、自身の体調管理をしっかりと行いましょう。

編集部まとめ

新緑の中にいる笑顔の日本人女性
貧血自体は珍しい症状ではなく、体質や生活習慣などによって発生することも多いため軽視されやすい病気です。

しかし、「休めば治る」と放置しておくと日常生活のストレスなどで悪化していく場合も少なくありません。

早期発見できればステロイド治療による完治も望める病気であるため、動悸や息切れを感じたら医療機関の受診をおすすめします。

自身の不調を放置せずに、健康な体づくりを目指しましょう。

この記事の監修医師

注目記事