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「胆管炎の死亡率」は胆のう炎より高い?低い?食事の注意点も解説!【医師監修】

 公開日:2025/11/20
「胆管炎の死亡率」は胆のう炎より高い?低い?食事の注意点も解説!【医師監修】

胆管炎は、 胆管が何らかの理由により狭まった結果、細菌感染を起こす病気 です。

胆管は肝臓で作られた胆汁の通り道ですが、結石などで管が閉塞してしまった場合胆汁がうっ滞してしまい、細菌に感染してしまいます。

この病気は、代表的な症状として黄疸・腹痛・激しい発熱を伴い、重症な場合は細菌が全身にまわって敗血症などの重篤な病気へと進行する可能性があります。

今回はそんな胆管炎の予後と予防するための食事の注意点について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「胆管炎」とは?症状・原因・治療法も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

胆管炎の予後と注意点

注射

胆管炎は完治しますか?

  • 完治しますが、炎症の原因となる結石などを取り除かない限りは根本的に改善しません。また急性胆管炎を治療した後、10〜15年の間に再び急性胆管炎になる人は7〜10%といわれており 、再発率が比較的高い病気です。特に結石が原因でこの病気を発症した人は食生活の改善に取り組み、定期的な通院・健康診断などで結石ができていないかチェックを行うことをおすすめします。

死亡率は高いのでしょうか?

  • 急性胆管炎の死亡率は2.7%~10%といわれています。胆管の上にある胆のう炎の死亡率は1%未満であるため、それに比べると胆管が閉塞するこの病気の死亡率は高いです。
    特に重症の場合、胆管内の細菌が全身にまわって敗血症に繋がるおそれがあります。全身の様々な機能が低下し、敗血症ショックといわれる低血圧状態に陥ってしまった場合、早急な治療を行わなければ命を落とす危険があります。胆管炎の疑いがある場合は、早期の受診と治療を行いましょう。

胆管炎を予防するために食事で注意することを教えてください。

  • この病気を引き起こす原因の1つである結石には、コレステロール過多が原因となっているものがあります。普段から脂っこい食事を好む方・暴飲暴食をしがちな方は食事に気を付けることが結石予防になり、結果管の詰まりを防ぐことに繋がります。胆汁の通り道である胆管自体をケアするような食事は難しいですが、まず胆汁を作っている肝臓を労わることが大事です。アルコールが好きな方は、肝臓を休める休肝日を設けるなどして肝臓をケアしてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 胆管炎は軽症の場合は回復が早いですが、重症の場合は命に関わることもありますので、特に高齢者など体力がない方の発症時には早めの治療が必須です。症状に腹痛・発熱・眼球の白目が黄色っぽくなる黄疸を伴い、比較的自覚症状がわかりやすいと思いますので、我慢せずに早めに病院を受診してください。結石を指摘された場合は約1週間ほどの入院を必要とします。そして結石を指摘された方は普段の食生活にも気を付けることが再発防止に繋がります。

編集部まとめ

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胆管炎は、胆管が結石・悪性がんにより閉塞され、滞留した胆汁が細菌に感染することで起こる病気です。

軽症の場合の治療は難しくありませんが、重症の場合は敗血症などに繋がるおそれがあり、命を落とすケースがある危険な病気です。

治療は炎症を鎮める抗菌薬の投薬だけでなく、炎症の原因となっている胆石などを取り除く手術も必要となってきます。

また再発率も比較的高く、特に胆石が原因でこの病気となった方は、普段の食生活に気を付けるなど再発防止を心がけることが必要です。

右上腹部痛や悪寒を伴う発熱があった場合は早めに病院にかかり、血液検査や腹部エコー検査を受けましょう。

この記事の監修医師

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