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難病「プリオン病」に治療法はないのか?医療費助成などのサポートも医師が解説!

 公開日:2025/12/11
難病「プリオン病」に治療法はないのか?医療費助成などのサポートも医師が解説!

「プリオン病」という病気をご存知でしょうか。聞き慣れない病名かもしれません。この病気は脳のとあるタンパク質が原因で起こると言われています。

しかし、未だにどのようなメカニズムで発病するのかがわかっていない特殊な病気です。現代においても解明できていない難病のひとつといえます。

周囲の人がプリオン病にかかったらどうしたら良いのでしょうか。今回は、プリオン病の症状や患者さんの周囲の人がサポートできることなどを紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「プリオン病」とは?症状・原因・治療法も併せて解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

プリオン病の治療方法・経過

手を握る人

プリオン病に有効な治療方法はあるのですか

  • プリオン病はどの類型でも治療法や治療薬がありません。根治ができない病気です。
  • しかし、プリオンの増殖を抑えて進行を遅らせたり、症状を軽減する対症療法が行われることがあります。進行初期には運動療法などで身体の動きづらさを軽減させます。
  • また、症状が進行すると経口摂取が困難です。その場合には経鼻胃管などで経管栄養を行います。

プリオン病を発症した場合の過ごし方を教えてください。

  • 症状が進行し寝たきりになるまでは日常生活で注意は必要ありません。ただし、思ったように動けないなどの症状が多いので日常的なサポートが必要です。
  • また、患者さんだけではなく周囲の方へのサポートも必要になります。ご家族でプリオン病が発病した場合、ほとんどは死に至ります。そのため、どうしても苦しみや心理的苦痛と向き合うことが必要です。
  • もしご家族や大切な方がプリオン病と診断された場合は、カウンセリングを受けることも検討してください。

身近な人がプリオン病になった場合にどのようなサポートができますか?

  • プリオン病は「特定疾患治療研究事業」の対象です。具体的には医療費助成、医療費自己負担分の助成がされます。また、40歳から介護保険に申請できる病気にも含まれています。
  • 患者さんご本人の手続きが困難な場合、そのお手伝いが必要です。行政上の支援が利用できるよう、ソーシャル・ワーカーなどの手を借りるようにしてください。
  • また、症状が進行すると症状によって日常生活がしだいに困難となります。そのため、介護などのサポートが必要です。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

  • プリオン病は、感染性を有する異常型プリオンが脳に沈着して、脳神経システムの細胞機能が進行性に障害される病気です。人口100万人あたり年間約1人の確率で発症すると言われており、本邦においては毎年100~200人の発病が報告されています。
  • ヒトにも動物にもみられ、動物のプリオン病としては牛海綿状脳症 (いわゆる狂牛病)が一時期話題になりました。
  • ヒトのプリオン病は、孤発性、遺伝性 (家族性)、獲得性の3種類があり、孤発性には孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病 、遺伝性には遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病、獲得性には医原性プリオン病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 、クールー病などが代表的に知られています。

編集部まとめ

看護師と患者

プリオン病は難病に指定されています。治療法や治療薬がなく、現代においても原因を特定することも難しい病気のひとつです。ただし、メカニズムは判明しています。

異常プリオンが脳の神経細胞を壊すことで、さまざまな身体異常や認知機能の低下を引き起こす病気です。

発病のうち7割は、異常プリオンの発生原因がわからない孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病と診断されます。残りの3割は遺伝性プリオン病か獲得性プリオン病です。

遺伝性プリオン病は、異常プリオンを作り出す遺伝子を遺伝したことで起こります。獲得性プリオン病の原因は異常プリオンに汚染された組織を摂取・移植することです。

症状としては認知症に似た症状と同時に、ミオクローヌスや視覚異常が起こります。症状が進行すると半年ほどで寝たきりとなり、1年から2年ほどで全身衰弱により死に至ります。

ほとんどが発症から1年ほどで死亡してしまうため、診断された場合の患者さん・ご家族ともに心理的ショックが大きい病気です。

カウンセリングなどで心理的不安に向き合う治療も行う必要があります。患者さんへのサポートと同時に、ご家族や周囲の方へのサポートも必要な病気です。

もし身近な方がプリオン病に罹患してしまった場合、必ず一人で悩まず、カウンセラーや心療内科などを受診しましょう。

この記事の監修医師

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