「不安症」を発症しやすい人の特徴はご存知ですか?症状・原因も解説!【医師監修】
公開日:2025/04/01

不安症は、不安を伴う様々な症状が日常生活に支障をもたらす精神的症状です。
心の病気には様々なものがありますが、不安症はどのような病気なのか知らない人も多いのではないでしょうか。
不安症がどんな病気なのか、症状・原因・なりやすい人など誰しもが陥る可能性がある不安症について詳しく解説いたします。

監修医師:
稲川 優多(医師)
プロフィールをもっと見る
自治医科大学勤務。医学博士、公認心理師。日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、精神保健指定医。
※この記事はMedical DOCにて『「不安症」とは?症状・原因・診断についても解説!医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
不安症ってどんな病気?
不安症とはどんな症状がみられる病気ですか?
- 不安症は、不安が伴う様々な症状が通常の限度を超え、行動や心理的に障害をもたらす精神的症状をまとめた名称です。不安障害と呼ぶ場合もあります。不安症には、社交不安症(社交不安障害)・全般不安症(全般性不安障害)・パニック症(パニック障害)などがあり、動悸・めまい・発汗・窒息感・吐き気・手足の震えなどの症状がみられることが多いです。
- 不安が強い恐怖感や緊張感のきっかけとなり、心が落ち着かない・集中できない・イライラする・不眠などの症状が出る場合もあります。精神的な病気である不安症は、1人1人の考え方や感じ方が異なるように、症状も個人差があります。
発症する原因が知りたいです。
- 不安症の発症の原因は、まだはっきりと解明されていないことも多いですが、以下の要素が発症に影響を与えていると考えられています。
- 遺伝的な要因
- 環境(人間関係などのストレス・生命を脅かす外傷的な出来事など)
- 精神的な気質
- 身体的な状態
- 薬の影響
- 不安や恐怖は誰しもが抱く感情です。しかし、極度のストレス・予想外の出来事に打ちのめされるなどの出来事がきっかけとなり、日常生活に支障をきたすような症状につながり不安症を発症するケースが増えています。また、身体的な病気や薬の影響も不安症の発症原因の1つです。アルコール・カフェイン・アンフェタミンなどの中枢刺激薬なども不安を誘発する成分に挙げられます。これらの成分が必ずしも不安症の発症原因になるわけではありません。しかし、人によっては不安を誘発する引き金になる場合があります。
不安症はどんな人が発症しやすいですか?
- 不安症の1つであるパニック症は、10代後半~30代の間に発症する人が多いといわれています。また、パニック症をはじめとする不安症は決して珍しい病気ではありません。日本人の100人に1人、つまり1%の割合の人がパニック症をはじめとする不安症と診断されています。不安症は男性よりも女性の方が割合として多いです。しかし、男性の不安症患者が少ないというわけでもありません。また、不安症になりやすい性格傾向は統計学的にはっきりと解明されていません。ただし、以下のような性格傾向を持つ人が不安症を発症しやすいとも考えられています。
- 神経質
- 内向的
- 心配性
- 完璧主義
- 感受性が高い
- こだわりが強い
- このような性格傾向がある人は、当てはまらない人よりも不安症に陥りやすい可能性が高いといえます。上記で挙げた性格傾向は不安を抱きやすいだけではなく、失敗や恥への極端な恐怖心・劣等感・他人への恐れなどを抱きやすいため、不安症に陥る可能性が少なくありません。また、不安症の発症は遺伝的要因も影響していると考えられており、不安症の家族がいる人も発症しやすい可能性があるといえます。
放置しておくのは危険なのでしょうか?
- 不安症とわかったら、適切な治療を始めることが大切です。不安症は、あらゆる不安によって日常生活に支障をきたすことから、放置しておくことで通常の日常生活を送ることができず辛い状況が続くことが予想されます。また、放置しておくことで症状が悪化したりうつ病を引き起こしたりする可能性があります。不安症が疑われる症状がある場合やはっきりとした症状がなくても不安感が何日も続いて辛いときは専門医に相談しましょう。
編集部まとめ
誰だって不得意なことや苦手なものがあります。
不得意なことや苦手なものを前にしたときに、不安や緊張を感じたり心が落ち着かなくなってしまったりしてしまうのは当たり前のことです。
しかし、不安・恐怖から動悸・めまい・発作などのなんらかの症状があらわれ、日常生活に支障をきたしている場合は不安症の可能性があります。
症状の悪化を防ぐためにも、発症したら早めに治療に取り掛かることが大切です。
ただし、不安症の症状は1人1人異なるため、自分に合った治療内容・ペースで治療を進めていくことが求められます。
適切な治療を進めていくためにも、不安症の疑いを感じたらまずは医師に相談してみましょう。
参考文献