「脳梗塞」は発症して何時間以内に治療すれば『後遺症が残りづらい』?予防法も解説!
公開日:2025/12/06

脳の血管が詰まり血流が悪くなることで、血管が細くなる・血栓ができるなどして脳細胞に障害が起こる病気が脳梗塞です。
高齢者が寝たきりになる原因の多くを占める脳梗塞は、初期段階での早期治療が大切といわれています。
そこで今回は脳梗塞についての質問にお答えしましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「脳梗塞」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
脳梗塞の予防と注意点

脳梗塞の予防方法を教えてください。
- 脳梗塞の原因となる高血圧症・糖尿病は動脈硬化を進ませることに繋がります。脳梗塞を予防するためには、血圧が高めの人や糖尿病の不安がある人は疾病の治療を行う必要があるでしょう。また日頃の生活習慣を見直すことも必要になります。特に次のようなことに気を付けることが大切です。
- 食生活の改善
- 適度な運動を行う
- 禁煙する
- 過度な飲酒はやめる
- ストレスをためない
- 食生活ではバランスのよい食事を心掛けるようにしましょう。青魚・野菜類・海藻・大豆などが動脈硬化を防ぎ脳梗塞予防になるといわれています。また適度な運動を行いストレスをためないようにすることも必要です。煙草をやめたり過度な飲酒をやめたりすることも脳梗塞の予防のためには必要だといえるでしょう。
脳梗塞は完治するのでしょうか?
- 脳梗塞は初期段階で治療すれば後遺症も残らず完治可能な病気です。ダメージを受けた脳細胞は復活することはありませんが、発症から4.5時間以内に治療を受けることで後遺症を残すことなく完治する可能性は高くなります。平均でも72時間以内に治療を受けなければ脳の細胞が壊死を起こしてしまい後遺症を残すことになるので、できるだけ早く受診することが大切です。
家族や周りが注意すべき点が知りたいです。
- 高血圧・糖尿病・心臓疾患などを抱えた人は脳梗塞を発症するリスクが高くなります。家族にそういった疾患を有する人がいる場合、日頃から注意を払うようにしてあげてください。顔の片側に麻痺がでている・言葉がおかしい・歩き方にふらつきがあるなどの症状があれば、すぐにでも救急車を呼び受診する必要があります。高齢者はなおさらですが、若い人にも脳梗塞が起こる可能性はあるので充分な注意が必要です。
最後に、読者にメッセージがあればお願いします。
- 脳梗塞は初期段階で早めに治療をすることで、後遺症を残すことなく日常生活に復帰が可能な病気です。そのためには脳梗塞の初期チェック「FAST」をいつも気に掛けておくことが大切です。
- Face(顔の片側麻痺)
- Arm(腕の片方に麻痺)
- Speech(言葉が話しにくい)
- Time(時間確認・早急に)
- 顔の麻痺・四肢の麻痺・言葉の障害があったら発症時間をチェックした上でできるだけ早く病院を受診するようにしましょう。自分自身だけでなく家族や周りの人のことも気に掛けるようにしてください。
編集部まとめ

脳梗塞について質問にお答えしました。脳梗塞は何よりも発症して治療開始までの時間が生命予後や臨床経過に大きく差をつける病気です。
すこしでもおかしいと気付いたらすぐに救急車を呼び治療を行うことで、後遺症を残さず日常を取り戻すことが可能なのです。
脳梗塞ではと思ったら、まずは一分でも早く受診しましょう。
そして日頃から脳梗塞にならないために今一度生活習慣の見直しを心掛けるようにしてください。
参考文献



