「腱鞘炎が再発し続ける」と発生する”リスク”とは?予防法も医師が解説!
公開日:2025/12/06

デスクワークやスポーツなどを長時間行うと、急に手首が痛んだり動かしづらくなる場合があります。腱鞘炎と呼ばれ、手首や指の腱に異常をきたす病気です。
上記のような動作の繰り返しのほか、更年期の女性や妊婦にも発症しやすいといわれています。
ここでは、突然起こることも多い腱鞘炎について、Q&A形式で解説していきます。もしかしてと思ったときは、参考にしてみてください。
また、最終的には自己判断に頼らず医療機関を受診することも大切です。早期の正確な治療を心がけましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「腱鞘炎」とは?治療・セルフチェック法・症状についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
腱鞘炎の予防

腱鞘炎が再発することはありますか?
- 腱鞘炎は繰り返し動作による摩擦が原因のため、同じような状況で再発する場合もあります。継続している仕事や習い事などがきっかけであれば注意が必要です。
- 一度腱鞘炎にかかってしまったら、手指の使い方などを見直して生活そのものを改善していくといいでしょう。
- また、あまりに腱鞘炎の再発が多いと腱鞘が摩擦で分厚くなってしまい、治癒が難しくなることもあります。その場合は分厚くなった腱鞘を切開して削る手術が必要です。多くの場合、再発を繰り返すと悪化したり癖になったりしてしまう病気といえます。腱鞘炎を経験した方もそうでない方も、普段から予防に努めるのがおすすめです。
予防方法があれば教えてください。
- パソコンを使ったりペンを握ったりという動作を長く行う場合でも、適度な休息やストレッチなどを行うことで予防が可能です。手指を動かす際は力を入れすぎず、腱に負担のかからない動きを心がけましょう。
- 仕事などでやむを得ない場合は、手首の動きを保護するサポーターなどもおすすめです。
- 手指のストレッチは場所や時間を取らない、ごく簡単なものでも効果があります。指を組んで回したり、脱力してブラブラと揺らしたりしてこまめに解しておきましょう。
最後に、読者へメッセージがあればお願いします。
- 腱鞘炎は、ふとしたきっかけで誰にでも発症しうる病気です。ごく軽症で済む場合もありますが、基本的には無理せず医療機関を受診してください。腱鞘炎は、骨と筋肉をつないでいる腱組織、および腱を包む腱鞘部と呼ばれる組織に摩擦が生じることで炎症が生じる疾患です。
- 特に、主要症状は普段から動きの多い手首や指に集中して発症しやすいと考えられています。
- 代表的には、手首の母指(親指)側にある腱鞘に発症する「ドケルバン病」や指の腱鞘に発症する「ばね指」が挙げられます。
- 腱鞘炎を発症すると、指や手首に痛みが生じるだけでなく、腱鞘が腫れて狭窄するため、腱のスムーズな動きが妨げられて手首や指の動きが悪くなることがありますし、手関節部周辺の神経を刺激することで患部周囲のしびれ症状を自覚することもあります。
- 腱鞘炎は、手首や指を酷使することで炎症が引き起こされるため、日常的にキーボード操作やピアノ演奏など指と手首を長時間動かす作業をしている場合、ボールなどを強く握って毎日のようにスポーツ活動をしている方々、育児中の人などが発症しやすいと指摘されています。
- 近年では、長時間のスマホ操作も腱鞘炎のリスクを高めるとして注意喚起されています。
ドケルバン病では母指をできるだけ動かさないよう注意します。
ばね指の場合は、指を反らすようにストレッチ運動を実践します。
編集部まとめ

今回は、手指に痛みを伴って発症する腱鞘炎についてまとめてきました。原因がはっきりしているぶん、予防や対処が分かりやすいと感じた方も多いのではないでしょうか。
もちろん過度に警戒する必要はありませんが、普段から無理をしないことが肝心です。
もしものときはこちらの記事を参考に、医療機関での適切な診断・治療を最優先に行うようにしてください。