「月経困難症」の多くの人は”他に何の疾患”を抱えてる可能性がある?症状も医師が解説!
公開日:2025/12/10

女性の体にとって生理は必要なものですが、様々な不調をきたすことも少なくありません。 人によっては生理中の痛み・不調にひどく悩まされている人もいるでしょう。 月経に伴って起こる症状を指す月経困難症は、女性の多くが抱える病気でもあります。 しかし、月経困難症がどんな病気か詳しく知らない人も少なくないのではないでしょうか。 どんな病気なのか、月経困難症について詳しく解説いたします。
※この記事はメディカルドックにて『「月経困難症」とは?ピル・症状・治療法についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
目次 -INDEX-
月経困難症の特徴
月経困難症はどのような病気ですか?
- 月経困難症は、生理痛をはじめとする月経に伴って起こる病的な症状のことです。
- 生理の期間中は、一般的に生理痛と呼ばれる下腹部の痛みに加え、頭痛・吐き気・倦怠感・疲労感・食欲不振・下痢などの症状があらわれる場合もあります。これらの痛み・不快感によって日常生活に支障をきたす場合、月経困難症といえます。
- また、病気が原因となって起きるものと明確な原因となる病気がないものの2種類に分けられるのも月経困難症の特徴です。
月経困難症にも種類があるのですね。
- 月経困難症は大きく2種類に分類できます。なんらかの原因となる病気があることで起こる器質性月経困難症と、原因となる病気がない機能性月経困難症です。
- 器質性月経困難症は、原因となる疾患によって引き起こされることから続発性月経困難症ともいいます。
- 機能性月経困難症は、原因疾患がないことから原発性月経困難症と呼ぶこともあります。
月経困難症の原因が知りたいです。
- 月経困難症の原因は、器質性月経困難症・機能性月経困難症によって異なります。
- 器質性月経困難症の場合、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症などの子宮の病気が原因です。骨盤内の炎症や子宮奇形が原因で月経困難症が起こる場合もあります。
- 機能性月経困難症の原因も様々です。生理中は、子宮の内側ではがれ落ちた子宮内膜を体外に出すために子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質が分泌されます。このプロスタグランジンの過剰分泌によって子宮が収縮され痛みにつながるのが、機能性月経困難症の原因の1つです。
- この他にも子宮口が狭いこと・ストレスなどの心理的要因・運動不足や冷えによる血行不良が挙げられます。
- また、月経困難症は基本的に排卵がないと起こりにくいといわれています。そのため、初経後しばらくは排卵がないことから初経から約1~2年は月経困難症が起きにくいです。
主な症状を教えてください。
- 月経困難症の主な症状は、下腹部の痛みに加え、頭痛・吐き気・倦怠感・疲労感・食欲不振・下痢などの不調です。
- イライラ・憂鬱・集中力の低下などいわゆるPMS(月経前症候群)のような症状も含まれます。
- 特に多い症状は、一般的に生理痛と呼ばれる下腹部の痛みです。
- 人によって痛みの度合いは異なりますが、立ち上がれない・鎮痛剤を飲まないと耐えられないなど、仕事や学校に行けない程の重度の痛み・不調を抱える人もいます。
他の婦人科系疾患との関連はありますか?
- 前述でお伝えしたように、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症などの婦人科系疾患が月経困難症の原因になっていることは少なくありません。これらの婦人科系疾患が原因となって起こる器質性月経困難症の場合、生理中以外でも痛みを感じる場合があります。
- 器質性月経困難症の原因の中で最も多い疾患が子宮内膜症です。
- 骨盤内や卵巣など子宮以外の場所で子宮内膜のような組織が増殖する子宮内膜症は、炎症を起こし激しい痛みなどの症状を引き起こします。20~30代の女性に多くみられ、不妊症の原因になることも少なくありません。
- 子宮内膜症の約80%以上の方が、月経困難症を抱えているともいわれています。
編集部まとめ
多くの女性が、生理中の不調を経験していると思います。
生理に関する悩み・症状は、他人に言いづらいセンシティブな問題でもあります。だからこそ、不安を抱える人も少なくないはずです。
生理中の痛み・不調を緩和するために家庭でできることはたくさんありますが、セルフケアだけでは改善が難しい症状・わからない原因もあります。
何十年と長く付き合っていかなければいけない生理だからこそ、辛い症状や悩みを抱えている人は迷わずに婦人科に相談してみましょう。