「多発性骨髄腫の生存率」は?日常生活で注意すべきポイントも解説!
公開日:2025/12/01

多発性骨髄腫は主に骨に大きな影響を与える血液のがんです。 体内に侵入した異物から体を守るための抗体を作る「形質細胞」ががん化するため、骨・腎臓・血液などにさまざまな合併症が起きる病気です。 60代以降の高齢男性に多くみられる病気で、以前は平均生存期間が3年~5年でしたが、医療の発展により現在ではさまざまな治療方法を選択できるようになりました。 この記事では、多発性骨髄腫の予後について詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「多発性骨髄腫」とは?症状・初期症状・原因についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
多発性骨髄腫の予後と日常生活の注意点
多発性骨髄腫は完治しますか?
- 多発性骨髄腫は完治が難しい病気です。以前は治療後の平均生存期間は3年~5年といわれていましたが、医療の発展により改善されつつあります。65歳以下の若い患者では5年生存率が50%程度で、造血幹細胞移植など強い治療を行うことにより10年以上再発しない例や20年以上の生存例もあります。
日常生活で注意すべきポイントを教えてください。
- 多発性骨髄腫と診断された場合、免疫力が低下しているため感染症に注意が必要です。健康なときには問題のない細菌・ウイルスでの感染症が起きやすくなるため、下記の点に注意しましょう。
- マスクの着用
- こまめな手洗い・うがい
- とくに外出時のマスク着用と外出後の手洗いは徹底しましょう。また、多発性骨髄腫は骨がもろくなる病気のため、軽い運動による筋力アップや身体機能の低下を防ぐことも重要です。無理のないよう家の中での歩行や短距離の外出から始めて、少しずつ行動範囲を広げましょう。
家族や周りはどのように対応するとよいですか?
- がんは日本人の2人に1人がかかる病気で、医療の発展によりすぐに命に関わる病気ではなくなりました。しかし、がんと告知された患者本人は気持ちが落ち込み、気持ちが不安定になることがほとんどです。イライラしたりショックで何も手につかなかったりと動揺しているため、まずは本人の気持ちに寄り添いましょう。
- 家族にとってもこれからの治療・抗がん剤による副作用・治療費・今後の生活についてなど、さまざまな不安があります。まずはがんについて正しく理解し、納得いくまで話し合いましょう。多発性骨髄腫の治療方法・緩和ケアにはさまざまな選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。医療機関とも対話を重ねながら納得のいく治療を受けましょう。
最後に、読者へメッセージがあればお願いします。
- 多発性骨髄腫は骨・血液・腎機能に影響を与えるがんです。60代以降の高齢の男性に多くみられ、発症すると完治が難しい病気です。病気が進行すると骨折しやすくなったり重度の貧血になったり、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなります。
- 腰や背中の強い痛みで整形外科などを受診し、多発性骨髄腫と診断されるケースが多いです。しかし、初期段階では自覚症状がない方も少なくありません。健康診断で高タンパク血症・貧血・高カルシウム血症・タンパク尿などが指摘されて病気がみつかる場合もあるため、定期的に健康診断を受けましょう。
- 医療の発展によってがんはすぐに命に関わる病気ではなくなり、65歳以下の場合は5年生存率も50%と大幅に改善されています。多発性骨髄腫と診断された場合も、さまざまな選択肢から自分に合った方向を決めて納得のいく治療を受けましょう。
編集部まとめ
多発性骨髄腫は原因不明で、60歳以上の高齢者に多くみられます。女性より男性がやや多く見られることも特徴です。
初期段階では自覚症状がない場合もありますが、腰・背中・肋骨の強い痛みで受診して発覚するケースが多いです。
健康診断で血液の数値の異常を指摘されて発覚する場合もあるため、早期発見のためにも定期的に受けることをおすすめします。
発症すると完治が難しい病気です。しかし、治療を受けることで10年以上再発せずに生存する方もいるので、家族や医療機関と相談しながら納得のいく治療を受けましょう。