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「パニック障害」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/12/20

「このまま死んでしまうのではないか」というほどの辛い身体症状に悩まされた経験はないでしょうか。

パニック障害では、突然起こるパニック発作によってこのような不安や恐怖に襲われることがあります。

パニック障害と向き合い症状をコントロールするためには、どのような病気なのか知っておくことが大切です。

今回は、そんなパニック障害について解説します。パニック発作が起きたときの対処方法や、パニック障害の治療方法もみていきましょう。

※この記事はメディカルドックにて『「パニック障害」とは?症状・原因・対処法も併せて解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

稲川 優多

監修医師
稲川 優多(医師)

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自治医科大学勤務。医学博士、公認心理師。日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、精神保健指定医。

パニック障害の特徴

頭を抱える女性

パニック障害はどのような病気ですか?

  • 予期せず突然に動悸・めまい・手足の震え・窒息感・吐き気・発汗などの症状が起こることを「パニック発作」といい、何度も繰り返される状態やそれによって日常生活や社会生活に支障が生じるのが「パニック障害」です。
  • パニック発作でみられる症状は心臓・肺・脳の病気を疑うものでもあり、救急外来をはじめ医療機関を何度も受診するケースが少なくありません。パニック発作は誰にでも起こりうるものですが、予測できる発作や単発での発作の場合はパニック障害とはいいません。パニック発作を起こす頻度は個人差があり、月に数回のケースもあれば週に数回のケースもあります。
  • 決して珍しい病気ではなく、一生の間にパニック障害になる人は1,000人に6〜9人いるといわれています。男性よりも女性に多く、20〜30代の若い世代に好発するのが特徴です。

何が原因でパニック障害になりますか?

  • 明確な原因はまだ解明されていませんが、脳内の伝達物質やストレスが影響しているのではないかといわれています。脳内には多くの神経細胞や受容体があり、さまざまな情報伝達が行われます。
  • その伝達機能に何らかの異常が生じると、脳に「生命の危機」を知らせるアラームが発動し、パニック発作を引き起こすのです。
  • その他にも、発症の数か月前に強いストレスを経験したケースや、カフェインなど特定の物質を摂取した際に発作が起こるケースもあり、さまざまな原因が考えられています。

パニック障害でみられる症状を教えてください。

  • パニック障害の症状は「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つです。先ほどお伝えしたように、パニック発作は動悸・めまい・窒息感などの身体症状で、発作が起こることは予測できません。そのため、「突然起こる」という表現が使われるのです。そして、パニック発作を何度も経験すると、「また発作が出るのではないか」「次は本当に死んでしまうかもしれない」という不安や恐怖を感じる人も少なくありません。それが「予期不安」で、パニック障害の特徴的な症状です。
  • また、「この場所に行くと発作が起こる」「発作が起こっても逃げられない」という不安から特定の場所を避ける状態を「広場恐怖」といいます。パニック発作を起こさないように特定の場所を避けるため、日常生活や仕事に影響が出ることも少なくありません。
  • その特定の場所は人によって異なり、エレベーター・電車・会社などさまざまです。予期不安と広場恐怖はすべてのパニック発作の患者さんにみられる症状ではありませんが、これらによって外出が困難になったり会社を辞めたりするケースもあります。

パニック発作が起きたときの対処法を教えてください。

  • パニック発作が起きたときは、慌てずゆっくりと呼吸をしましょう。また、できるだけリラックスできる体勢になることも大切です。パニック発作は発作が始まってから10分以内にピークを迎え、20〜30分ほどで治まるといわれています。
  • 辛い症状がそれだけ続くのは大変な苦痛ですが、「必ず発作は治まる」と思って心に余裕を持つことも大切です。
  • 少しでも気持を落ち着かせられるように、呼吸法を知っておくことをおすすめします。近くに頼れる人がいれば側にいてもらうのもよいでしょう。

編集部まとめ

OKサインを出す女性

パニック障害はパニック発作が繰り返される病気で、予期不安や広場恐怖によって日常生活に支障が出ることも少なくありません。

外出を控えたり仕事に行けなくなったりするなど、病気の影響は大きいものです。

また、パニック発作で起こる身体症状や精神症状はコントロールが難しく、周囲の人に理解されにくいという苦悩もあります。

「パニック発作で死ぬことはない」といわれますが、パニック障害は本人にとってとても辛い病気です。

パニック障害で悩む患者さんも周囲の人も、まずは病気について知るところから始めましょう。

この記事の監修医師

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