「歯周病の予防法」はご存知ですか?受診の目安となる症状も医師が解説!
公開日:2025/12/03

歯周病は口の中の病気に止まらず、全身に影響するリスクがあることをご存じでしょうか。歯周病は日本国民の3人に2人がかかるといわれるほど身近な病気です。
しかし、歯周病のことは知っていても、歯周病が及ぼすさまざまなリスクまでは知らないという方も少なくありません。
歯周病が進行すると歯を失うこともあり、それは若い方も例外ではないのです。
今回は歯周病の予防方法をみていきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「歯周病」とは?治療法・症状・予防・原因についても解説【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修歯科医師:
柴原 孝彦(東京歯科大学名誉教授)
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1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授。
著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。
著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。
歯周病の予防方法

歯周病の予防方法を知りたいです。
- 歯周病を予防するために、毎日しっかりと歯磨きをしましょう。できるだけ毎食後に歯磨きをするのが理想です。歯と歯肉の間に汚れが残っていると歯垢になり、それが歯周病の原因になります。白くてネバネバした歯垢をそのままにしないことが、歯周病の予防につながるのです。
- ブラッシングは、歯と歯の間・歯と歯肉の間・歯の裏側・歯ブラシが届きにくい奥歯など、磨き残しが出やすい部分も意識して磨くようにしましょう。歯ブラシは強く当てず、毛束がまっすぐ歯に当たるくらいの力加減にしてください。歯ブラシを細かく動かし、1か所につき10〜20回ほど磨くのがポイントです。1日に1回は5分間を目安に歯磨きを実施することをおすすめします。
- 歯と歯の間の汚れはブラッシングだけでは除去できないため、デンタルフロスを使うことも検討してください。
- また、歯周病はストレス・喫煙・食生活などが原因になることもあるため、しっかり休養を取る・禁煙・食生活の見直しなども一緒に行いましょう。日常的にできる予防方法としてはご自身で行う歯磨きや生活習慣の見直しがありますが、より確実に予防するためには歯科クリニックで受けられる定期検診がおすすめです。
- 歯科クリニックでは、専門家がPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)という歯面清掃を行っています。専用の機器を使って歯垢・歯石を取り除き、フッ素入りの研磨剤で歯面清掃を行います。歯と歯の間や歯と歯肉の間は磨き残しが多いという方も珍しくありません。
- また、歯並びが悪いとどうしても歯磨きがしにくく、磨き残しが出てしまいます。個人レベルでは対策しきれない部分も、PMTCを受けることで虫歯や歯周病になりにくい口内環境を整えることができるのです。
- 万が一歯周病になってしまっても、定期検診を受けていれば早期発見につなげることもできます。このように個人と歯科クリニックが二人三脚で対策することが大切です。
受診の目安や注意すべき症状を教えてください。
- 歯周病は初期段階では自覚症状がないことが多いですが、注意してチェックすることで早めに気づける可能性があります。口臭・歯肉の腫れ・歯磨き時の出血・歯肉がブヨブヨする感じは、歯周病のサインということが多いです。
- また、歯肉が赤くなっていたり歯がグラグラしたりする場合は、歯周病が進行していることも考えられます。歯肉を押したときに膿が出てくるようなら要注意です。
- 30代以上の約8割が歯周病といわれているため、これらの症状が気になったら早めに受診することをおすすめします。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 歯周病は身近な病気でありながら、実は全身に大きな影響を及ぼすリスクが潜んでいます。毎日の歯磨きや生活習慣で歯周病の発症や進行を防ぐことができるため、自覚症状がなくても意識することが大切です。
- かかりつけの歯科医をみつけて、定期的に歯のクリーニングや歯周病のチェックを受けると安心です。
編集部まとめ

歯周病は、30代以上の成人の方であれば誰でもかかるリスクがあります。
歯周病が進行すると、歯の寿命を縮めたり全身に影響したりするリスクがあるため、早期発見・早期治療が重要です。
そして歯周病の原因は「歯垢=歯に停滞した汚れ」のため、日々の丁寧な歯磨きで歯周病を予防できる可能性があります。
しかし、ご自身では丁寧に磨いているつもりでも磨き残しが生じることもあるでしょう。
歯周病の予防や早期発見のために、定期的に歯科検診を受けることをおすすめします。健康な歯と歯肉は、将来のご自身の健康にもつながります。
歯のクリーニングと歯周病のチェックを行っている歯科クリニックも多いです。これらを活用しながら、歯周病の予防や早期発見・早期予防につなげてください。