喉の奥に激しい痛み…「扁桃周囲膿瘍」は再発リスクが高い?予防法を医師が解説!
公開日:2025/12/14

風邪をひいて「扁桃腺が腫れている」というのは、よく聞く症状です。
これは扁桃腺が炎症を起こす扁桃炎という病気ですが、扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)とは違うのでしょうか。ここでは扁桃周囲膿瘍と扁桃炎の違いを解説します。
扁桃周囲膿瘍は、激しい痛みを伴い、ときには命に関わるリスクもある病気です。扁桃周囲膿瘍の予防法などを紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「扁桃周囲膿瘍」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和佐野 浩一郎(医師)
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慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。2018年より独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部室長。日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医・補聴器相談医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、日本耳科学会耳科手術暫定指導医、頭頸部がん専門医・指導医、日本がん治療認定医機構日本がん治療認定医、日本気管食道科学会気管食道科専門医。
目次 -INDEX-
扁桃周囲膿瘍の予防法

扁桃周囲膿瘍は再発するのでしょうか?
- 扁桃周囲膿瘍は、耳鼻咽喉科担当の病気のなかでは再発のリスクの高い病気の1つです。扁桃周囲膿瘍の患者さんのうち、約3分の1が再発したと報告されています。
- 特に20~30代の若い世代の再発が目立ち、半数以上は3ヶ月以内での再発です。これは、再発した患者さんの多くが、膿瘍が完治していなかったからと考えられています。
- 20~30代は忙しい世代のため、術後の通院が続かない人が多いからです。そのため、扁桃周囲膿瘍の治療後も3ヶ月は通院で様子をみる必要があります。
再発した場合、扁桃腺は摘出しなければなりませんか?
- 扁桃周囲膿瘍は重症になると、重篤な合併症を引き起こすことがあります。再発防止のために扁桃腺を摘出する手術をすすめる医師も多くいます。
- 扁桃炎や扁桃周囲膿瘍を繰り返すようなら耳鼻咽喉科の医師と相談して摘出手術も視野に入れましょう。
- 手術は全身麻酔下で行われ、入院期間は平均1週間程度です。
扁桃周囲膿瘍の予防法について教えてください。
- 扁桃周囲膿瘍は扁桃炎が悪化して発症します。そのため、扁桃炎にかかってしまったら、こじらせて扁桃周囲膿瘍へ悪化しないように注意しましょう。
- 扁桃炎ならば、解熱剤や抗生物質の投与などで4~5日で治ることが期待できます。もちろん、扁桃炎にならないように注意することも大切です。扁桃炎は免疫力が低下したときに発症しやすくなります。そのため、風邪をひかないよう注意しましょう。
- バランスの良い食事・適度な運動・規則正しい生活を心掛けてください。免疫力が下がらないようにすることが風邪を予防し、扁桃周囲膿瘍の予防となります。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
- 風邪をひかなければ、扁桃炎や扁桃周囲膿瘍になる確率は低くなると考えられています。実際は細菌やウィルスの感染が原因のため、風邪が直接の原因ではありません。
- しかし、風邪によって免疫力が低下することが扁桃炎を発症するきっかけになっています。
- 「風邪は万病の元」ということです。日頃から健康的な生活を心掛けていれば、扁桃周囲膿瘍になる確率も低くなると考えられています。
編集部まとめ

喉の奥の片側だけに痛みがある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。もしかすると扁桃周囲膿瘍かもしれません。
悪化すると食事が摂れなくなり、回復が遅れてしまいます。早めの受診が重症化を防いでくれます。
また、扁桃周囲膿瘍は再発のリスクの高い病気です。症状が治まったからといって、通院をやめることはしないでください。
医師の診断のもと、きちんと完治させることが大切です。
幼少期において、扁桃はウィルスや細菌から身体をまもってくれる器官です。しかし、大人にとっては扁桃はさほど重要な器官ではなくなります。
扁桃炎や扁桃周囲膿瘍になった場合は、扁桃線の摘出手術も検討しましょう。
参考文献