「急性腎不全」になると血圧はどうなる?早期発見と予防法を医師が解説!
公開日:2025/11/17

昔に比べて平均寿命・健康寿命ともに延びている現代ですが、それでも予期せず病気にはかかってしまうものです。
しかし、仮に病気にかかってしまっても、早期発見による迅速かつ適切な治療によって悪化を防げる場合があります。
そういった病気の中から今回焦点をあてて解説するのは急性腎不全です。
予防法についても触れていくので、体調や体質的に不安のある方は参考にしてください。
※この記事はメディカルドックにて『「急性腎不全(急性腎障害)」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
急性腎不全にならないために

急性腎不全は完治する病気ですか?
- 急性腎不全は適切な治療を行うことで回復可能な病気ですが、完治する割合は30%であるとされています。
- 60%の人は完治しないまま慢性腎臓病になり、10%の人がそのまま悪化して末期腎不全になってしまうというのが現状です。
- 少しでも完治する可能性を上げるためにも、早期発見および早期治療が重要になります。特に高齢の方はいつの間にか急性腎不全になっている場合があるので注意が必要です。
早期発見のポイントを教えてください。
- 早期発見のために重要なことは、体調に悪影響が出る前に自身の体の異常に気づくことです。急性腎不全は体調の悪さを感じた時点では、すでに重症化している場合が多いとされています。では、どうすれば自身での早期発見ができるのでしょうか?おすすめな方法として以下の2つがあります。
- 日常的な血圧測定
- 定期的な血液検査・尿検査
- 腎前性の急性腎不全では、著しい血圧の低下が見られます。常日頃から自身の血圧の平均値を把握しておくことで異常に気づき、医療機関を受診することで早期での発見と治療が可能です。また非ステロイド性解熱鎮痛剤などの医薬品を服用している人は、健康診断などで定期的な血液検査や尿検査を医療機関にて行うことで、早期発見後迅速な治療を受けることができます。
- 早期発見において、日頃から自身の体の自己管理を行うことが最も重要なポイントです。
急性腎不全の予防法はありますか?
- 高齢の方は、脱水や血圧低下によっていつの間にか急性腎不全を引き起こしている場合があるので、こまめな水分補給と日常的な血圧測定をすることで予防が可能です。
- また、日常的な血圧測定は降圧剤を服用している人も行うことで薬剤による急性腎不全を防ぐことができます。
- 急性腎不全は腎機能の低い人がなりやすい病気です。健康診断などで腎機能が低いと診断された人は、高齢ではなくともこまめな水分補給や塩分制限など、食生活も気にかけることをおすすめします。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
- 腎臓という臓器は、そもそも左右の腰背部に存在するソラマメ型を呈したものであり、左右でそれぞれ150g程度の重量があり、その機能としては体内水分量の調整、必要な電解質やミネラルなどの調整、そして老廃物を尿として排泄する役割を担っています。
- 急性腎不全とは、何らかの理由で腎機能が急激に低下し、体内の水分や老廃物を排泄できなくなる病気です。腎不全には、数日から数週間単位で急に腎機能が低下する急性腎不全、そして数か月から数十年単位で腎機能が少しずつ悪化していく慢性腎不全がありますが、前者における発症メカニズムとしては、腎前性・腎性・腎後性の3種類に分類されます。基本的に、急性腎障害は可逆性で改善する余地があるため、本来の腎機能に改善するために適切な治療が望ましいです。
- 仮に脱水による腎前性腎障害を疑われた際には点滴補液、薬剤性由来の腎性腎障害の場合には被疑薬の中止、尿路結石の存在によって引き起こされた腎後性腎障害のケースでは、結石を取り除く治療が一般的に実践されます。
編集部まとめ

今回は急性腎不全について解説しました。急性腎不全は急速な腎機能の低下が特徴的な病気です。
尿量が減ることで老廃物などがたまり、むくみや高血圧といった症状が現れます。重症化すると意識障害や命にかかわることもあるので適切な早期の治療が大切です。
早期治療のためには早期発見が重要であり、日常的な自己の体調管理を行うことが早期発見につながります。
ここでの解説を機に、日常的な体調チェックや定期的な健康診断を受ける方が増えたら幸いです。