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「一過性脳虚血の治療」で使用される”抗血栓薬”とは?医師が副作用や注意点を解説!

 公開日:2025/12/05
「一過性脳虚血の治療」で使用される"抗血栓薬"とは?医師が副作用や注意点を解説!

一過性脳虚血は脳卒中の前触れとしてあらわれます。症状が消失するため放置されがちですが、そのまま脳梗塞に発展することは少なくありません。

その後の重症化を避けるためにも、発症した時点で治療を受けることが大切です。

今回は、一過性脳虚血の治療法や予後について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「一過性脳虚血」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

松澤 宗範

監修医師
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

一過性脳虚血の治療方法や予防方法は?

ベットで休む女性

一過性脳虚血の治療方法が知りたいです。

  • 薬物療法が基本的です。利用する薬剤は、原因疾患などにあわせて処方されることが一般的です。代表的な薬剤と対応する疾患を下記に挙げます。
  • 抗凝固薬:不整脈・心疾患がある場合
  • 抗血小板薬:心疾患以外
  • 抗凝固薬と抗血小板薬は、まとめて「抗血栓薬」とも呼ばれます。その名の通り、血栓の生成を防止する薬剤です。具体的には血液をサラサラにして、血管内で詰まるのを防ぐ作用があります。血管が著しく狭窄している場合は、血管を拡張するために外科手術が選択されることもあります。あわせて原因疾患の治療を行うことも大切です。

治療中の副作用や注意点があれば教えてください。

  • 治療に用いる抗凝固薬・抗血小板薬では、稀に副作用があらわれます。
    【抗凝固薬の副作用】

  • 出血:鼻血・歯茎の出血・血尿
  • 肝機能障害:倦怠感・食欲不振・吐き気・嘔吐・黄疸
  • 消化器官の不調:腹痛・吐き気・嘔吐
  • 肺線維症
  • 【抗血小板薬の副作用】

  • 出血:外傷時に出血が止まりにくい
  • 消化器官の不調:食欲不振・吐き気・嘔吐
  • 肝機能障害:倦怠感・食欲不振・吐き気・嘔吐・黄疸
  • 蕁麻疹
  • もっとも代表的なのは出血です。鼻・歯茎の出血のほか、傷を負った際に血が止まりにくくなります。そのほか、発熱・倦怠感などの不調があらわれた場合は、念のため医師の診察を受けましょう。
  • なお、抗凝固薬のうちワーファリンを服用している方は、ビタミンKの摂取を控える必要があります。ビタミンKはワーファリンの作用を弱めるためです。たとえば下記のような食品を避けてください。
    【ワーファリンの作用を弱める食品】

  • ビタミンKを含むサプリメント
  • 納豆
  • 青汁
  • クロレラ

一過性脳虚血は完治するものですか?

    一過性脳虚血自体は一時的な症状であるため、治ります。しかしその後、脳卒中に発展した場合、完治は期待できません。脳卒中は脳の細胞が損傷する疾患であり、損傷した脳細胞は再生しないためです。脳卒中を回避するには、発作があらわれた時点で、適切な治療を受けることが大切です。

一過性脳虚血を予防する方法はありますか?

  • 脳血管障害の多くは、生活習慣の乱れに起因します。生活習慣病の乱れは、危険因子である生活習慣病を招くためです。一過性脳虚血を予防するには、生活習慣を見直すとともに生活習慣病を予防することが大切です。
  • 栄養バランスのよい食事
  • 塩分・糖分・脂質の過剰摂取を避ける
  • 適度な運動
  • 十分な休息
  • ストレス発散
  • 禁酒・禁煙
  • 定期的な検診

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

  • 一過性脳虚血は脳梗塞の前触れともいわれています。しかし発症後に適切な治療を受ければ、その後の脳梗塞のリスクは低減できます。
  • 少しでも「おかしい」と感じる症状があれば、迷わずに病院を受診してください。あわせて、普段から規則正しい生活習慣を心がけることも大切です。

編集部まとめ

医師と患者
一過性脳虚血は症状が短時間で消失するため、放置する方は少なくありません。しかし脳卒中の前触れの可能性が高いため、たとえ短時間で回復しても放置はしないでください。

また、健常者の脳構造では、多くの重要な血管が張り巡らされており、そこから脳実質に必要な栄養と酸素が供給されていますが、血管の動脈硬化性変化などによって脳血管の一部が細くなり閉塞してしまうと、脳組織へ十分な酸素や栄養が供給されなくなることで、血流を受けている部分の脳に障害が生じて片麻痺や呂律困難などの症状が引き起こされます。

気になる症状がある場合は、必ず病院を受診しましょう。

この記事の監修医師

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