突然死を引き起こす「ブルガダ症候群の治療法」はご存じですか?医師が解説!
公開日:2025/11/16

心臓病の一種で「ぽっくり病」とも呼ばれる、突然死を引き起こすブルガダ症候群という疾患があります。 ブルガダ症候群はほとんどのケースでは無症状であることが多いです。 しかし、発作が起こるとそれまで健康に暮らしていた方が何の前触れもなく死に至るケースもあります。 今回は、ブルガダ症候群の治療法や日常生活で気をつけるべきことについて詳しく解説していきます。
※この記事はメディカルドックにて『「ブルガダ症候群」とは?検査法や治療法についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
プロフィールをもっと見る
【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
ブルガダ症候群の治療法や日常生活で気をつけるべきこと
何科を受診すれば良いですか?
- 健康診断などでブルガダ症候群の可能性を指摘され病院を受診する場合は循環器内科の受診をお勧めします。
- 循環器内科では、心臓や血管などの体液を身体に循環させるための器官に関連する病気を専門に扱っています。心臓病についても専門に取り扱う科であるため、精密検査や治療を行う設備を持ち、知識やノウハウを有する医師が多数在籍する科です。
- ブルガダ症候群で病院を受診する場合では、循環器内科の中でも特に心臓病関連に強いクリニックを探すと良いでしょう。
どのような治療を行いますか?
- ブルガダ症候群は残念ながら完治することはありません。しかし、突然死を予防するために発作を抑制させたり植込み型除細動器(ICD)を使用して心室細動の発作を止めたりすることは可能です。
- 予防には不整脈を防ぐ薬を使った薬物治療や、身体の中に植込み型除細動器を埋め込み不整脈を常時監視することがあります。植込み型除細動器は不整脈など心臓の動きの異常を感知すると、電気ショックをかけて確実に止めるように作動します。
- また、発作の頻度が高い患者さんの場合には手術も必要です。カテーテルアブレーションと呼ばれる心臓の筋肉の一部を焼いて心室細動の発生を抑止します。
日常生活で気をつけるべきことについて教えてください。
- ブルガダ症候群の診断を受けた場合には日常生活でも注意が必要です。
- 過度な飲酒は体温の上昇につながり心電図異常が強まる傾向があるため避けたほうが良いでしょう。
- 植込み型除細動器(ICD)を使用している場合には、機器が誤作動してしまうと命に関わる危険があります。そのため、電子調理器や大きな発電機などに近づかないよう気を付けなければなりません。
- 高熱が出ると発作が起こる可能性が高まるため、速やかに解熱を図る必要があります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- ブルガダ症候群は完治が難しい病気ではありますが、薬物治療などで症状を抑制することも可能です。
- 失神や心室細動などの症状がある場合には、植込み型除細動器(ICD)を使用して心臓の異常な動きを止めることもできます。
- また、ブルガダ症候群の診断を受けた場合でも必ず症状が発生するとは限りません。ほとんどの場合は無症状であり、突然死といった大きなリスクが発生する可能性は低いです。
- 診断を受けた場合でも過剰に不安にならずに、定期的な検査を行い現状の症状について医師の判断を仰ぐことをおすすめします。
編集部まとめ
ブルガダ症候群は私たち日本人を含むアジア圏の特に男性に多くみられる病気です。
特に大きな異常がなく健康に暮らしていた方が、突然の発作により最悪の場合では死に至るケースもあります。
完治させるのは難しい病気であり、遺伝により発症する可能性なども報告されています。
症状が酷い場合には失神や心室細動という発作を起こすこともありますが、通常では自覚症状がほとんどない病気です。
健康診断などの心電図検査でブルガダ症候群の疑いが認められた場合には速やかに循環器内科を受診し医師の診断を受けることをおすすめします。