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胸のしこり…「乳腺線維腺腫の治療法」はご存じですか?医師が解説!

 公開日:2025/12/02
胸のしこり…「乳腺線維腺腫の治療法」はご存じですか?医師が解説!

お風呂で偶然胸に触れたり、乳がんのセルフチェックをしたりしたときに、奇妙なしこりに気がついたことはありませんか。くるくると動く丸い小さな塊です。 しこりを見つけても「これはもしかして乳がんかもしれない」と不安でパニックを起こさないでください。 専門医のチェックを受けると、しこりは乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)のような良性のものだったということも、実は少なくないのです。 今回は良性の胸のしこりの代表格である乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)についてご紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「乳腺線維腺腫」とは?発症しやすい年代や原因・症状についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

乳腺線維腺腫の治療法

女性 バスト

治療法について教えてください。

  • 乳腺線維腺腫だと診断が確定した場合には、特別な治療は必要ありません。そのまま放置しておいてかまわない症状です。たとえば乳腺線維腺腫は乳腺葉状腫瘍という別の病気の初期症状と似ています。乳腺葉状腫瘍は10cm以上に大きくなる場合もあります。
  • ただし、しこりが次第に大きくなっていくようであったり、すでに大きくなりすぎたりした場合には、手術で乳腺線維腺腫を取り出すこともあります。外観上に問題が生じたり、他の病気の恐れがなかったりするか確認するためです。
  • たとえば乳腺線維腺腫は乳腺葉状腫瘍という別の病気の初期症状と似ています。乳腺葉状腫瘍は10cm以上に大きくなる場合もあります。
  • 乳腺葉状腫瘍には良性の場合と悪性の場合があるので、万が一悪性だと大変です。そのためしこりの大きさに応じて乳房の部分切除あるいは全体切除を行うことになります。

線維腺腫は消えますか?

  • 乳腺線維腺腫は3分の1から3分の2の確率で、自然に小さくなって見つからなくなります
  • 10代から20代のころに見つかった乳腺線維腺腫は、40代から50代になる頃には気にならないほど目立たなくなるのが普通です。

線維腺腫が大きくなることはありますか?

  • 乳腺線維腺腫は3cm以上の大きさになることは滅多にありません。しかし10代から20代の若い時期には、乳腺線維腺腫も徐々に大きくなる傾向があります。
  • 一般に30代になると乳腺線維腺腫の成長は止まり、40代・50代から閉経期にかけて、次第に小さくなっていきます。
  • また妊娠の際に、乳腺線維腺腫も大きくなる場合があります。この場合、出産後授乳が終わるころには再び小さくなるのが普通です。
  • 一方しこりが乳腺葉状腫瘍の初期症状である場合、10cm以上まで大きくなることがあります。心配な場合は専門医を訪ねて検査を受け、しこりが乳腺線維腺腫であることを確かめることをおすすめします。

発症した際に注意すべきことについて教えてください。

  • 不必要な心配をしないことです。しかしこれまで述べたように、乳腺線維腺腫は次第に大きくなっていく傾向があります。
  • ときには、一度切除したはずの乳腺線維腺腫が再発する場合もあります。このようなときに既にご自分が知っている知識をもとにして「いつもの乳腺線維腺腫だから放っておいて大丈夫」と無視をしないようにしてください。
  • まれなことかもしれませんが、そのしこりが悪性の乳腺葉状腫瘍や乳がんの初期であることもあります。したがって月1回のセルフチェックと、半年から1年に1回程度の経過観察は忘れないようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • この疾患は、10~20歳代の若年女性にもみられる、乳房にしこりができる病気であり、乳癌と異なって線維腺腫の場合には腫瘤の境界が明確でよく動くのが特徴の一つと言われています。基本的には、良性腫瘍に分類されます。
  • 線維腺腫は数cm以上に大きくなることは稀であり、触診や超音波検査を受けると診断可能です。
  • 線維線種の場合には、しこりの大きさが3㎝以下であれば特別治療の必要はなく、定期的に半年から一年に1回程度検診を受けてフォローしてもらいましょう。
  • 日常生活で乳房にしこりを感じた方は、ぜひ専門医に相談しましょう。

編集部まとめ

女性医師 乳腺線維腺腫についてご説明しましたが、胸のしこりがすべて悪性とは限らないことがご理解いただけたでしょうか。 胸のしこりに気がついたら、パニックを起こさずまず専門医に相談しましょう。 専門医のところへいきなり行くのは不安だという方は、まずかかりつけの先生に診てもらい、必要なら専門医へ紹介状を書いてもらうのも良い考えです。

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