「水腎症を放置する」と何の疾患を起こす”リスク”がある?治療法も医師が解説!
更新日:2025/12/08

水腎症は大人だけではなく、乳幼児や胎児に発見されることも珍しくない病気です。
症状が出ていたり、尿に異常を感じたりすると「大きな病気なのではないか」と不安に感じる方もいます。
今回は水腎症の放置することで起こり得るリスクや合併症などについて紹介するため、正しい理解のために参考にしてください。
※この記事はメディカルドックにて『「水腎症(すいじんしょう)」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 尚史(新松戸中央総合病院)
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東京医科大学卒業。その後、複数の病院を経て、2021年より新松戸中央総合病院にて泌尿器科医として勤務。ダヴィンチ手術を多く手がけている。著書は「前立腺がんは「ロボット手術」で完治を目指す!青月社(共著、改訂版)」。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医、日本性機能学会性機能専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科(泌尿器科)専門医、日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医(手術指導医)、日本ロボット外科学会Robo Doc認定医・ロボット(da Vinci)手術認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医 、日本メンズヘルス医学 テストステロン治療認定医、日本医師会認定産業医。
目次 -INDEX-
水腎症を放置するリスクと治療方法

水腎症を放置するとどうなりますか?
- 程度が軽い水腎症の場合、症状が出ないことも珍しくないため気づかないうちに治っているというケースもあります。
- 症状があるにもかかわらず受診をせずに放置しておくと腎臓の機能が低下し、最悪の場合急性腎不全を引き起こすリスクがあります。症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
合併症などはありますか?
- 合併症として腎機能障害と尿路感染症を引き起こすリスクがあります。尿路感染症とは尿路に細菌が入り込み増殖して炎症を起こすものです。
- 血液検査や脳検査によって炎症反応と腎機能を確認し、原因となる細菌に対して抗生物質で治療する方法が一般的です。
- また水腎症の手術を受けた後に合併症を起こすリスクもあります。例えば術後に腎臓と尿管のつなぎめが再狭窄を起こしたり、膀胱から尿が逆流したりする症状です。
- 合併症を起こしていないかの確認をするためにも、術後は通院で状態を確認する必要があります。
治療方法について教えてください。
- 軽度の水腎症で症状がない場合は、定期的に尿検査と超音波検査を行いながら経過観察をします。
- 軽度の場合は、治療をせずに自然に治るケースも珍しくありません。重度の水腎症や腎機能の低下がみられる場合は、手術によって治療する場合もあります。
- 手術方法は尿管狭窄拡張術や腎盂形成術を用いて行います。尿が流れる経路の障害となっている尿管を一部切除して、腎盂と尿管をつなぎ直す方法です。小児に多くみられる腎盂尿管移行部狭窄においてもこの方法が用いられます。
- 尿路結石が原因の場合は、砕石術や内視鏡手術によって尿路結石を治療していきます。尿管がんの場合は、手術療法と抗がん剤治療がメインとなります。
手術後に気をつけることはありますか?
- 手術後に尿路感染症や尿路結石などの合併症を引き起こすことがあるため、定期的に通院して経過をみていく必要があります。
- 両方の腎臓の働きに異常が生じてなければ日常生活に支障をきたすことはありませんが、どちらかの腎臓の機能が低下している場合には、腎機能の管理を厳重に行う必要があります。
- また日常生活において血圧の上昇が見られる場合もあるため注意が必要です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
- 水腎症はその原因となった病気を判別することが大事です。原因により治療法は全く違います。
- 良性の病気が原因になることもあれば悪性の病気が原因となる場合もあります。
- 悪性の病気の場合は早期発見、早期治療が肝要ですので、健診などで指摘されたら早めの医療機関受診をお勧めいたします。
編集部まとめ

水腎症とは尿の通り道に何らかの障害が生じたために尿の流れが悪くなり、尿管や腎臓に尿がたまってしまう病気です。
その症状は全く症状が出ない軽度のものから、腰・下腹部にかけて激しい痛みを感じる重度のものまであります。
大人だけではなく乳幼児や胎児にもみられ、超音波検査によって発見される場合がほとんどです。
治療方法は原因によって異なりますが、重度のケースや腎機能の低下がみられる場合は手術が必要になる可能性もあります。
水腎症は放置しておくと腎機能障害、尿路感染症や尿路結石などの合併症を引き起こすこともあるため、症状を自覚した場合には早急に医療機関を受診しましょう。