身体の一部が勝手に動く…「ジスキネジア」は何科に受診すれば良い?治療法も解説!
公開日:2025/11/20

ジスキネジアは、本人の意思とは関係なく身体の一部がおかしな動きをしてしまう症状のことをいいます。症状が軽いうちは日常生活に影響はありません。 しかし、放っておくと症状が強くなるため、できるだけ早めに対処をすることが大切です。 今回は、ジスキネジアの治療法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「ジスキネジア」とは?症状・原因・治し方についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 直(医師)
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所属:平成かぐらクリニック院長 メンタルアシストプログラム総責任者、一般社団法人 健康職場推進機構理事長、医療法人社団 平成医会 理事
著書:精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法
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目次 -INDEX-
ジスキネジアの治療法
何科を受診すれば良いですか?
- ジスキネジアの症状に詳しいのは脳神経内科か精神神経科です。ジスキネジアと疑われる症状が出始めた方は、脳神経内科を受診して下さい。
- 抗精神病薬やパーキンソン病の治療で薬を服用している方は、まずは主治医に相談をしましょう。その後、必要であれば専門の医療機関を受診して下さい。
どのような検査をしますか?
- ジスキネジアの疑いで受診した際は、まずは問診や症状の観察から診断をします。ジスキネジアと似たような症状の疾患もあるため、運動障害がどのタイミングで現れるかを判断することが大切です。
- 必要に応じて血液検査を行い、血液の中のドパミンの濃度を測定します。血液検査の結果と症状の現れ方を比較して、原因を特定することが重要です。
- たとえば、パーキンソン病の患者さんであればジスキネジアの症状が現れるタイミングが、血液の中の薬の量が多いときか、効き目が切れるときなのかを見極めます。
治療方法について教えてください。
- ジスキネジアが薬の服用が原因である場合の対応は、薬の減量・中断・変更のいずれかです。患者さんの病状や薬の副作用を総合的に判断したうえで、適切な対応をします。
- 他に、ドパミンを枯渇する薬やドパミンの受容体を休ませる薬やビタミン剤などの薬物療法での治療も可能です。ジスキネジアの症状が重度で、薬だけでは対応できない場合は、脳に電気を流して刺激を与える脳深部刺激療法という脳の手術を行うことがあります。症状の1つである、歯の食いしばりへの対処は、歯科医院でマウスピースを作ってもらうことも可能です。
予防方法はありますか?
- ジスキネジアは薬の中断や減薬などで対応することが可能です。しかし、薬の副作用によるジスキネジアは発症すると治りにくいため、予防が1番の治療ともいわれています。
- 若いころにパーキンソン病を発症した方には、長期的な服薬でジスキネジアを併発する方が多いです。そのため、原因になり得る薬の使用を避けたり少なくしたりする治療も検討します。定型抗精神病薬を少なくして、必要であれば非定型の薬と併用し、それも最小限にするのが予防の基本です。
発症した際に注意すべきことについて教えてください。
- ジスキネジアは早期発見・早期治療が重要な疾患です。しかし、ジスキネジアの初期のうちは生活に大きく影響を及ぼすことはありません。また、ジスキネジア以外にも似たような症状の疾患もあります。だからこそ判断がしにくいうえ、症状も軽いうちは見過ごされやすいです。
- ジスキネジアを起こしやすい疾患がある方や、副作用がでやすい薬を長期間服用している方は、本人はもちろん家族の方も注意が必要です。上記で紹介したジスキネジアの症状がでていないか、気にとめておきましょう。
- また、症状が薬の副作用だとわかった場合、自己判断で薬を減らす・中断するなどはしてはいけません。勝手に対処をしてしまうと、治療をしていた病気が悪化してしまう可能性があります。薬の服用に関しては必ず主治医に相談をして、適切に対処してもらうようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- ジスキネジアは、発症したからといって急に重症化するものではないため、慌てる必要はありません。しかし、時間が経つと症状が激しくなることがあります。
- 不随意運動が激しくなると、患者さんも疲れてしまいますし辛いものです。家族が見ていて「おかしいな?」と感じたら、早めに主治医に相談をするようにして下さい。
- もし、症状だけでは判断が難しい場合は、症状がでている様子を動画に撮って記録をしておくとよいです。受診をする際は下記の内容を、できるだけ詳しく主治医に伝えて下さい。
- どんな症状があるか(動画をみせてもよい)
- いつ頃起こったのか
- どんなタイミングで起こるか
- 患者さんの症状や様子など総合的に判断をして、対処法を検討していくことになります。治療の際は主治医の指示に従って、気になることは必ず相談をするようにしましょう。
編集部まとめ
ジスキネジアは随意運動がうまくいかなくなって起こる不随意運動のことです。自分の意思とは関係なく、身体の一部が動いてしまいます。
初期の段階では日常生活への影響は少ないです。そのため気にならないという方もいますが、症状が強くなると仕事など生活に支障がでる可能性があります。
ジスキネジアの症状が起こるとき、患者さん本人は無意識です。本人はなかなか気が付かない場合が多いため、日ごろから家族の方で様子をこまめに観察して下さい。
少しでも違和感があったら、必ず主治医に相談をして指示を仰ぐようにしましょう。