「腰椎圧迫骨折」を起こすと何の動作で痛みが発生するかご存じですか?医師が解説!
公開日:2025/12/04

腰椎圧迫骨折は通常の骨折とは違い、強い力が加わることで腰椎の「椎体(ついたい)」が潰れた状態になることをいいます。 「骨粗しょう症」が原因で起こる場合が多いため、ホルモンバランスが崩れる閉経後の高齢女性に多い症状です。 骨密度が低くなると日常的な動作でも腰椎圧迫骨折を引き起こすことがあるため、注意が必要です。 転倒・転落・スポーツなどでの外傷が原因の場合もあるため、若年層や男性でも症状が起こる可能性は十分あります。 腰椎圧迫骨折の症状ついて詳しくみていきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「腰椎圧迫骨折」を起こすと何の動作で痛みが発生するかご存じですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
田中 栄(医師)
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東京大学医学部医学科卒業。その後、東京大学医学部附属病院整形外科研修医、Yale大学医学部整形外科留学、東京大学医学部附属病院整形外科助手、東京大学大学院医学系研究科外科学専攻整形外科学准教授、東京大学大学院医学系研究科外科学専攻整形外科学教授、東京大学医学部附属病院副院長を務める。2021年より東京大学医学部附属病院副院長、東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター副センター長。
腰椎圧迫骨折とは?
腰椎圧迫骨折とは普通の骨折とどう違うのですか?
- 骨が折れたり欠けたりした状態が普通の骨折、潰れた状態が腰椎圧迫骨折です。普通の骨折の場合は骨に力が加わることで骨が完全に折れたり、ヒビが入ったり、一部が欠けたりします。
- 一方、腰椎圧迫骨折の場合は腰椎の椎体が潰れたように変形した状態です。転倒したり尻もちをついたりしたときに腰に強い力がかかることで椎体が潰されるような状態になり、骨折が起こります。
- 複数のパーツで構成されている脊椎の中でも、とくに第11~12胸椎と第1胸腰椎移行部で多発するといわれています。
腰椎圧迫骨折でみられる症状とは何ですか?
- 腰椎圧迫骨折の主な症状は強い腰の痛みで、寝返りや起き上がりなどの動作時に強い痛みが出ることが多いのが特徴です。
- 疼痛:寝返り・起き上がり・立ち上がりなど日常的な動作で痛みが発生します。
- 叩打痛:圧迫骨折を起こした部位は突起が飛び出した状態となり、骨折部分を軽く叩いただけで強い傷みを感じます。
- 後弯変形:多発的に圧迫骨折が起こっている場合、猫背のように背骨が丸く変形します。
- 神経症状:椎体の潰れ方によっては神経を圧迫するため、視力の低下やヘルニアや狭窄症に似た下肢のしびれ・筋力の低下などの症状があります。
腰椎圧迫骨折は何が原因で発症しますか?
- 若年者と高齢者では腰椎圧迫骨折の原因は異なります。若年者の場合はスポーツでの外傷や高い場所から転落するなど、強力な外力を受けることで発症することが多いでしょう。
- 高齢者の場合は骨密度の低下によって骨の強度が弱くなることが原因になりやすく、ホルモンの影響で骨密度が低下しやすい高齢の女性に多く見られます。
- また、高齢者の場合は尻もちをついたとき・転倒したとき・重い物を持ち上げたとき・くしゃみや咳をしたときなど、日常的な動作でも骨折する可能性があります。強い痛みを伴う腰痛が長引く場合は注意が必要です。
編集部まとめ
腰椎圧迫骨折は骨粗しょう症が原因となる場合が多く、ホルモンバランスが崩れる閉経後の高齢女性に多く見られる症状です。
その他にも転倒や転落、スポーツなどが原因で腰に強い力が加わった場合は若年層や男性でも腰椎圧迫骨折が起こる可能性があるため、注意が必要です。
急性期には起き上がることも動くこともできないほどの激痛を伴いますが、コルセットを装着して安静を保つことで徐々に痛みは治まります。
骨密度が低くなっている高齢者の場合、とくに注意が必要です。日常的な何気ない動作やくしゃみをしただけでも骨折する場合があります。
強い痛みを伴う腰痛が長引いている場合は腰椎圧迫骨折の可能性を考慮して、一度病院で診察を受けてみましょう。