目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 難病「レックリングハウゼン病に合併症」はあるのか?治療法も医師が解説!

難病「レックリングハウゼン病に合併症」はあるのか?治療法も医師が解説!

 公開日:2025/11/24
難病「レックリングハウゼン病に合併症」はあるのか?治療法も医師が解説!

レックリングハウゼン病は、主に色素斑と神経線維腫がみられる遺伝性の病気です。

世間ではあまり知られていない病気で、生まれた赤ちゃんに薄いシミがあっても気に留めない方が多いのが現状です。

乳児健診で指摘されて初めて知り、不安にかられる親御さんも少なくありません。インターネットで検索して出て来る情報は、まれな重い症状だからです。

ここでは、レックリングハウゼン病の治療法をご紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「レックリングハウゼン病(神経線維腫症Ⅰ型)指定難病34」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

プロフィールをもっと見る
【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

レックリングハウゼン病の治療方法

レックリングハウゼン病の治療方法

レックリングハウゼン病ではどんな治療をするのでしょうか?

  • 根本的な治療法がなく、対処療法が中心です。
  • 神経線維腫は、外科的手術や電気焼灼術で取り除きます。カフェ・オ・レ斑に対してレーザー治療を行うこともあります。
  • その他、悪性腫瘍などの病変には、必要とされる治療を行います。骨の変形に対しては整形外科で、脳腫瘍に対しては脳外科にて治療が施されます。

治療による副反応などはありますか?あれば教えてください。

  • 対処療法が中心で特効薬というものはないため、副反応も報告されていません。
  • 治療による副反応といえるものは、色素斑に対するレーザー治療くらいです。レーザー治療では、まれに色素沈着がみられることもあります。主に審美的治療のため、事前にメリットデメリットを確認しましょう。
  • 海外では治療薬の開発が進んでいます。日本ではまだ認可されていませんが、近い将来には根本治療に繋がる可能性があります。効果や副反応については研究中ですが、特効薬が開発されれば患者さんにとって明るい報告となります。

レックリングハウゼン病には合併症があると聞いたのですが…

  • 目に虹彩小結節という腫瘍がみられることがあります。これは良性で、視力に問題はありません。成長期には脊椎の側弯など骨格異常も報告されています。
  • 悪性腫瘍が発症することもありますが、発症頻度は低いです。また、子どもの頃には注意欠如多動症や学習障害がみられることもあります。
  • すべての患者さんに、すべての症状がでてくるわけではなく、個人差が大きいのがこの病気の特徴です。多くの患者さんは普通に学校に行って、普通の生活を過ごしています。必要以上に合併症を気にする必要はありません。合併症が多く症状が重い場合は、医療費の助成金が受けられることもあります。

治療中、あるいは治療後の注意点を教えてください。

  • レックリングハウゼン病を専門の1つにしている医師にかかり、大人になっても定期的な通院がおすすめです。
  • 軽症の患者さんの多くは、大人になると定期的に通院しなくなる傾向があります。この病気は生まれたときには発症しており、成長した後もさまざまな症状が出現する可能性があります。
  • このため、こども医療センターや大学病院などの基幹病院でのフォローが原則となります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 病気を知り、インターネットで検索をして暗い気持ちになる親御さんも少なくありません。しかし、この病気は個人差が大きいのが特徴です。
  • 多くの患者さんは普通の生活をして就職もし、家族を持っています。しかし、遺伝性の病気のため、結婚時や妊娠時に悩む方も多くいます。悩んだときには、レックリングハウゼン病学会が用意している相談機関を利用しましょう。
  • 最近は有効な薬も開発が進み、根本治療への躍進が期待されています。成人して症状が安定している方も、医療機関に定期的に通院することをおすすめします。最適な時期に最良の治療を受けられる環境が大切だからです。

編集部まとめ

編集部まとめ
レックリングハウゼン病は、指定難病の1つです。すべての患者さんが対象ではありませんが、医療費の助成が出る場合もあります。

また、小児慢性特定疾病にも指定されています。症状が重い方は、主治医に相談してみましょう。

この病気には有効な治療法がないことにより、軽症の方は次第に受診されなくなる方も少なくありません。

定期的な通院はせずに「神経線維腫が気になれば、形成外科や美容外科で切除する」という方が多いと考えられています。

しかし、薬の開発が進んでいる今、信頼のおける医療機関での受診がおすすめです。神経線維腫ができないようになる日も近いかもしれません。

この記事の監修医師

注目記事