「セリアック病」を発症しやすい年齢や性別はご存知ですか?【医師監修】
公開日:2025/04/02

セリアック病は食物アレルギーの1つで、グルテンに対する自己免疫疾患です。近年日本でも増加傾向にあり、辛い思いをしている方も多いのです。
こちらではセリアック病について解説しています。症状や小麦アレルギーとの違い、発症しやすい年代や性別、合併症などについて、さまざまな質問に応えています。
セリアック病について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
※この記事はMedical DOCにて『「セリアック病」とは?症状・食事についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
目次 -INDEX-
セリアック病の特徴
セリアック病とはどんな病気ですか?
- セリアック病は本来人間の持っている免疫という仕組みを、何らかの原因で誤って認識し自分自身の身体を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
- 食物アレルギーの1つでグルテンに含まれるグリアジンを有害と認識することで起こります。セリアック病の人はグリアジンが体内に入るとそれを排除しようとT細胞の働きが活発化し、グリアジンのある小腸の粘膜を破壊してしまうのです。
- このようにグルテンを摂取することで自分の免疫が自分自身を傷つけてしまう病気がセリアック病なのです。
小麦アレルギーとの違いは何ですか?
- グルテンに含まれるグリアジンに対して自己免疫が働くのがセリアック病ですが、小麦アレルギーは小麦に対してアレルギー反応を起こすアレルギー疾患です。
- また小麦アレルギーは即時型で数分から数時間でアレルギー症状が出ますが、セリアック病は遅延型自己免疫疾患で症状は1、2日後に現れます。
- 食生活では小麦アレルギーの小麦フリーに対し、セリアック病はグルテンフリーである点も少し違います。
発症しやすい年代や性別はありますか?
- セリアック病は欧米で多く見られる疾患で日本での罹患者数は少なかったのですが、生活様式の欧米化で近年では増加傾向にあります。
- 男女差については日本ではほぼ同じ、欧米では女性の罹患率が高く重症化するのも女性が多いといわれています。年代としては乳幼児期に発症することは少なく、現在では成人よりも10代の子どもたちの罹患率が高くなっているのです。およそ70人に1人の割合で子どもたちはグルテン不耐症であるともいわれているのです。
- セリアック病発症には遺伝的要素や環境的要素が大きく関わってきます。日本で比較的セリアック病の患者が少ない理由には白血球の血液型HLAを持つ人が少ないこととグリアジンの摂取量が少ないことが挙げられます。それでも胃腸への感染や手術などを引き金として、日本でも性別や年代に関係なくセリアック病を発症する可能性があるのです。
大人と子どもで症状に差があるのですか?
- セリアック病は一度発症すると完治が難しい病気です。成人の場合には筋力低下や食欲不振と下痢症状が見られます。
- 子どもの症状としては、大人と同様の症状が現れる場合もあれば比較的症状が出にくい場合もあるのです。ただ虚弱で成長が遅くなる傾向があり、低身長や貧血などの栄養吸収の不足が原因と思われる症状が見受けられます。
- 完治の難しい病気ではありますが、一生上手く付き合っていく病気と考え定期的に検査や治療を行うことで安定した状態を保つことは可能です。
合併症などのリスクはありますか?
- セリアック病そのものと合併症の発症についてはそれほど多くありません。ただリスクとしては甲状腺疾患やリンパ腫に罹りやすいことが挙げられます。
- セリアック病に20年以上の長期間罹っている患者の場合、6〜8%の割合で発症します。セリアック病では腸管の炎症が頻繁に起こり、リンパ球が増殖するのです。そのためにリンパ腫を発症しやすいのは事実です。
- もちろん定期的な診断や治療を受け、グルテンフリーの生活を守ればリスクは下がります。リンパ腫や癌の早期発見のためには定期的に組織検査を行うことが大切なのです。
編集部まとめ
欧米では比較的知られているセリアック病ですが、パンやパスタといった小麦製品の摂取が多くなった日本でも患者の増加がみられます。
発症までに長い期間がかかることや、発症すると生涯完治することは難しいということから、受け入れ難い病気の1つといえるでしょう。
セリアック病と診断されても、グルテンを摂取しない食生活を続けることで症状は軽減し通常の生活が可能になるのです。
定期的な診断や検査は必要になりますが、病気と上手に付き合いながら前向きに生活していきましょう。
参考文献