「腸炎」で柑橘ジュースはNG?”避けた方が良い食事”を医師が解説!
公開日:2025/12/21

腸炎は、誰もが一度は経験する病気ではないでしょうか?ある日突然お腹が痛くなって、下痢が止まらずトイレとの往復、その他ほとんど何も手つかずで疲れ果ててしまいます。
海外旅行で体に合わないものを食べてお腹を壊したという話をときどき聞きますが、そうなるとまさに踏んだり蹴ったりです。
もちろん腸炎は食あたりだけでなく、風邪をこじらせてもただ体調が悪いときにも発症することがあります。
ここでは身近で経験することが多い腸炎について、対処法についてまとめました。
※この記事はメディカルドックにて『「腸炎」とは?症状・原因・食事についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
腸炎で押さえておきたいポイント

腸炎の特効薬はありますか?
- 急性腸炎の特効薬はありません。焦らずに自然治癒を待つことが大切です。
- 食事を摂るのをしばらく中止して、腸を休ませてあげることで、大抵の急性腸炎は良くなります。その際は水分を少しずつ摂取して、脱水状態にならないように注意しましょう。
- 水分補給がうまくいかない場合や腹痛がひどい場合は、入院して治療を受けた方が良いケースもあります。調子が元に戻らないときは、遠慮せずに診療所や病院を受診しましょう。
腸炎の際に避けた方がよい食べ物・飲み物はありますか?
- 下痢が続く間は、腸を刺激するような食べ物や飲み物は避けましょう。
- 具体的には繊維の多いきのこ・こんにゃくなどの食品や脂肪分の多い食品、冷たいものや刺激物、炭酸飲料・コーヒー・アルコールなどです。腸内でガスを発生させる豆類・芋類・かぼちゃ・栗なども、発生したガスが腸を刺激するので避ける必要があります。
- 前記のとおり、水分の補給は脱水状態を防ぐために不可欠です。ぬるま湯やお茶やスポーツドリンクなどがおすすめです。ただし水分とはいっても、炭酸飲料はもちろん一見体に良さそうな柑橘系のジュースや牛乳も実は腸を刺激するので、避けておきましょう。
腸炎が治るまでにはどのくらいの時間がかかりますか?
- 急性のウィルス性腸炎の場合、発症後5日から7日程経てば症状は自然に治まっていきます。細菌性腸炎の場合は病気を治すために抗菌剤が必要になる場合もあります。
- 慢性腸炎の場合は症状が長く続くため、治療期間も長期にわたります。そのため体力維持のための栄養補給が大切な課題になります。
- 腸を刺激する飲食物は避けて、消化・吸収が良い糖質や質の良いたんぱく質を積極的に摂りましょう。
腸炎を予防するには何に気をつければよいですか?
- 腸炎(感染性腸炎)を予防するためには、原因となる菌を体の中に取り込まないようにすることです。
- 具体的には石けんで小まめに手を洗う・食品の鮮度に気を付ける・前日の残り(2日目のカレーなど)を食べる場合は十分に加熱する、などがあげられます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
- 大抵の急性腸炎は数日間トイレとの間を往復しているうちに治ります。
- しかし脱水症状を併発したら大変です。がまんできないほど体調が悪い時は、医師の診察を受けて点滴をしてもらったり、適切な抗生物質を投与してもらうといった選択肢が有効です。
- 下痢やお腹の痛みが長く続く場合は慢性腸炎の可能性があるので、病院で検査と適切な治療を受けてください。
編集部まとめ

腸炎を甘くみないでください。
腸炎は比較的ありふれた病気で、基本的には自然に治るのを待つしかない病気ですが、軽く考えてもよい病気では決してありません。
原因がウイルスであれ、細菌であれ、あるいは風邪をこじらせたのであれ同じです。
脱水症状を防ぐために水分の補給を欠かさず、病状が悪化する気配を感じたら、すぐに医師の診察と治療を受けるようにしましょう。