出産後に現れる「後陣痛の痛み」はどれくらい?なぜ起こるのかも医師が解説!
公開日:2025/12/04

分娩後に、激しい痛みを伴う「後陣痛」と呼ばれる症状が出ることは珍しいことではありません。 体力を要する出産が終わったと思ったら、「この痛みは何だろう?」「大丈夫かな」と痛みを感じることに不安を覚える方もいます。 「後陣痛って何?」という方に向けて後陣痛が何故起こるのか・どのような痛みが生じるのかを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「後陣痛」とは?どのくらい続くかも解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
後陣痛の痛みとは?
後陣痛は何故起こるのですか?
- 後陣痛は、子宮を元の大きさに戻すための子宮収縮によって起こります。
- 妊娠中の子宮は乳児の成長に伴って大きくなり、産後4〜8週間かけて元の大きさに戻るのです。また、後陣痛は出産の際に断裂した血管からの出血を最小限に抑える役割もあります。
- 出産時には、胎盤が剥がれた部分の血管が断裂して、出血が起こります。子宮が収縮することによって断裂した血管が締まって、大量出血を防ぐのです。
- 後陣痛は出産後の生理的現象で、産婦の体を回復させるために重要な役割を果たしています。後陣痛は産婦の命を守るために必要な「良い陣痛」といわれています
重要な役割なのですね。痛みはどのくらいなのでしょうか?
- 痛みの程度は個人差がありますが、生理痛より少し強い痛みといわれています。しかし陣痛より強い痛みで夜も眠れないという方もいるため、一概に同じような痛みとは限りません。
- 痛みを感じる部位は人それぞれ異なりますが、一般的に腰・下腹部などに痛みを感じる方が多いのが特徴です。
- 初めての出産時にはあまり痛みを感じなくても経産婦で出産した際には激しい痛みを感じることもあり、同じ人でも出産の回数によって痛みの感じ方が異なります。これは経産婦の方が子宮収縮のスピードが早くなるためです
後陣痛はどのくらいの期間続くのですか?
- 後陣痛は出産当日もしくは翌日あたりに強くなっていき、産後3日頃には痛みが和らいでいきます。中には2〜4週間痛みが続く方もいるため、後陣痛の痛みを感じる期間にも個人差があります。
- 産後4週間ほどは子宮収縮が続き、痛みがなくなったと思ったら不規則に激しい痛みを感じることもあるため心構えが必要です。
- 痛みを感じるタイミングもばらばらで、1日中痛みを伴う方もいれば、授乳中だけ強烈な痛みを感じる方もいます。
編集部まとめ
後陣痛とは産後の子宮を元の状態に戻すために必要な過程です。子宮が元の大きさに戻ろうとする際に子宮収縮が起こり、その収縮が痛みとなって現れます。
子宮収縮は子宮内の出血を抑える効果もあるため、なくてはならない生理的現象です。
痛みには個人差があり、生理痛より少し痛い・陣痛より痛いなどさまざまな感じ方をするのが特徴です。
後陣痛は身体を温める・楽な姿勢を取る・マッサージをするなどのセルフケアによって痛みが和らぐことがあるため試してみてください。
後陣痛のような痛みを感じるだけではなく、発熱やだるさなど他の症状を伴う場合は子宮内感染を起こしている可能性があります。
子宮内感染症が疑われる場合はすぐに医師に相談し、対処するようにしましょう。