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「クッシング症候群の治療法」はご存じですか?副反応についても医師が解説!

 公開日:2025/12/01
「クッシング症候群の治療法」はご存じですか?副反応についても医師が解説!

クッシング症候群とは、副腎から分泌されるコルチゾールとよばれるホルモンが過剰に分泌されることにより、高血圧・耐糖能異常(糖尿病)・骨粗鬆症・月経異常・うつ傾向・体重増加などの臨床的な症状があらわれる病気です。 副腎から分泌されるホルモンの中で最も重要なのがコルチゾールといわれており、コルチゾールにはあらゆる生体機能をサポートする役割があります。コルチゾールは少なすぎても多すぎても人体に影響を及ぼすとても繊細なホルモンです。 今回はクッシング症候群について、治療法を詳しくみていきましょう。

※この記事はメディカルドックにて『「クッシング症候群」ってどんな病気?症状についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

クッシング症候群に用いられる治療法

診察をする男性医師

クッシング症候群ではどんな治療を行うのでしょうか?

  • 副腎に腫瘍がある方は、原因である腫瘍を手術で摘出することで根本的な治療が可能です。
  • さまざまな理由で手術が困難な場合や腫瘍が摘出しきれなかった場合は、放射線治療や薬物療法を行うこともあり、薬物治療を行う場合は病状により薬を使い分けることが必要です。

治療による副反応はありますか?

  • 腫瘍の摘出後は一時的にコルチゾールの量が低下しますが、半年~1年もしくは2年程度で通常の量まで回復します。
  • 身体的な症状は徐々に消失しますが、コルチゾールの骨吸収作用によって低下した骨密度は正常まで戻らず、継続した骨粗しょう症の治療が必要な可能性もあります。

治療中もしくは治療後に注意するべきことがあれば教えてください。

  • 治療後は一時的にコルチゾールの分泌が少なくなるため、コルチゾールの量が安定するまでは内服薬で補うなどの処置が必要な場合があります。
  • 副腎腫瘍が片方のみの場合は、もう一方の副腎がそのまま残っているためコルチゾールの分泌量が安定すれば服薬をやめることもできますが、両方の副腎に腫瘍があった場合はずっと内服を続けなければなりません。
  • 病状により治療内容や治療後の注意も変わるため、医師の指示に従うことが大切です。

最後に、読者へのメッセージがあればお願いします

  • クッシング症候群は、身体的な症状には特徴的なものが多く、見た目の変化にあらわれやすい病気です。とくに、顔や肩・背中などに脂肪がつきやすくなることなどは、自分でも気づきやすい症状でもあります。
  • 少しでも異変を感じた場合は、なるべく早めに医師に相談しましょう。放置するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があり、場合によっては命の危険もあります。

編集部まとめ

紅茶を飲む女性 クッシング症候群を早期発見するには、身体の状態に目を向け、満月様顔貌や野牛肩・中心性肥満などがないかを観察する必要があります。 クッシング症候群は、発症する主な原因が副腎腫瘍や下垂体腫瘍であるために予防が難しい病気で、予防に努めるよりも早期発見・早期治療をすることが大切です。 コルチゾールの過剰分泌を放置すると、免疫力の低下・感染症の併発・脳卒中や虚血性の心疾患にかかりやすくなり、命の危険もあります。 「最近顔が丸くなった」「血圧・血糖のコントロールがうまくいかない」「手足が細くなっているのに体幹には脂肪がついている」「年齢の割に骨密度が低い」「手や足に力が入らなくなってきた」などの身体的症状がみられる場合は、早めに医師に相談しましょう。

この記事の監修医師

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