目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「低ナトリウム血症の治療法」は何を制限するかご存知ですか?予防法も医師が解説!

「低ナトリウム血症の治療法」は何を制限するかご存知ですか?予防法も医師が解説!

 公開日:2025/11/25
「低ナトリウム血症の治療法」は何を制限するかご存知ですか?予防法も医師が解説!

疲労感やだるさを引き起こす原因の1つに低ナトリウム血症があげられます。

低ナトリウム血症は血液中のナトリウム濃度の低下により起こり、誰でもなり得る病気です。

一方で、初期症状は単なる疲れと誤解しやすく、気付かないうちに重症化してしまう恐れがあります。

命にかかわる病気でもあるため、疑わしい症状がある場合は適切な対処が必要です。

今回は低ナトリウム血症の治療・予防方法について紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「低ナトリウム血症」とは?症状・原因・治療法についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

低ナトリウム血症の治療・予防方法とは

ハートを手で持つ女性

低ナトリウム血症はどんな治療をしますか?

  • 軽症の場合は、経過観察あるいはタイプ別に合わせた治療をします。水分量が過剰なタイプ・正常なタイプの場合は、水分摂取量を制限することで回復するケースが多いです。薬の影響による症状の場合は、薬の中止・減量で様子をみていきます。
  • 水分量が減少しているタイプの場合は、生理食塩水を点滴し、水分量とナトリウム濃度のバランスを正常に戻していきます。
  • 重度の症状がみられる場合は、脳に重篤な影響を及ぼす恐れもあるため、迅速なナトリウムの投与が必要です。しかし、急激なナトリウム濃度の上昇も脳神経系に重篤な影響を与える可能性があるため、症状を観察しながら適切な速度でナトリウムを投与していきます。

低ナトリウム血症は完治しますか?

  • 低ナトリウム血症は血液中のナトリウム濃度が低下して起こる症状であるため、水分量とナトリウム濃度のバランスを正常に保つことで治る病気です。しかし、原因となる疾患がある場合は、その原因疾患を治さない限り症状が続く可能性があります。完治するためには、原因疾患の特定治療が必要です。

低ナトリウム血症の治療後に気を付けることは?

  • 低ナトリウム血症を起こした方のなかには、「塩分をたくさん摂ればいい」と考える人もいます。しかし、やみくもに塩分を摂ればいいというわけではありません。心不全などの疾患が関わっている場合は、過剰な塩分摂取が逆効果になる場合もあります。また、塩分の摂りすぎは生活習慣病の原因にもなるため注意が必要です。
  • 治療後は、なぜ症状が生じたのか、原因に合わせて対処することが必要です。治療後は、医師の指示に沿った生活を心がけ、原因疾患の治療生活習慣の見直しを行いましょう。

低ナトリウム血症の予防方法があれば教えてください。

  • 低ナトリウム血症の発症は、腎機能障害や高齢者に多くみられる傾向があります。しかし、健康な人でも、過剰な水分摂取・ナトリウムの無補給によって発症する可能性があるため注意が必要です。
  • 大量に汗をかいた際、水分と一緒に体内のナトリウムも排出されます。このときに大量の水分だけを摂取しナトリウムが補給されないと、体内のナトリウム濃度は薄まってしまいます。大量に汗をかいた際は、水分と一緒に塩分も摂取しましょう。夏場やスポーツをする際は、特に注意が必要です。水ではなくナトリウムを含んだスポーツドリンクなどの水分補給が予防につながります。
  • 一方で、心臓・腎臓・生活習慣病などの疾患がある場合は、病気の内容や服用している薬によっては水分摂取を制限する必要があります。かかりつけ医の指示に従って、水分補給・塩分補給をしましょう。また、降圧薬・利尿薬・抗うつ薬を服用している人、脳疾患の既往がある人は、低ナトリウム血症を発症しやすい傾向があります。疲労感・倦怠感・頭痛などの初期症状がみられる場合は、早めに医師に相談しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 「なんだか疲れやすい」「だるさがとれない」などはよくある体の不調ですが、低ナトリウム血症が原因の可能性も考えられます。低ナトリウム血症は初期は軽い症状ですが、進行すれば意識障害・昏睡状態、最悪の場合死に至る病気です。低ナトリウム血症かどうかは、血液検査ですぐに診断することができます。気になる症状がみられる場合は、早めに検査してみましょう。
  • また、暑い時期は熱中症と低ナトリウム血症を勘違いしてしまうケースも少なくありません。低ナトリウム血症の場合、熱中症と異なり大量の水分補給は逆効果になります。熱中症が疑われる場合も、低ナトリウム血症の可能性を考え、医師の診断に沿って適切に対処していきましょう。

編集部まとめ

女医とビジネスマン
低ナトリウム血症は、初期の段階では単なる疲れや体調不良と見過ごしてしまいやすい特徴があります。

しかし、重症化すると命にかかわる深刻な病気であるため、早めの対処が重要です。気になる症状がみられる場合は、早めに医師に相談しましょう。

また、大量の汗をかいた際は、血中のナトリウム濃度が低下しやすい状態です。水分補給と同時に塩分補給を忘れずに行い、予防に努めましょう。

この記事の監修医師

注目記事