「イレウス(腸閉塞)の治療法」はご存じですか?治療中の注意点も医師が解説!
公開日:2025/11/30

腹部の手術後や腸管の炎症によって腸管同士が癒着し塞がってしまうことがあります。
この状態はイレウス(腸閉塞)と呼ばれ、腹膜炎によって命にかかわる恐れもあるため注意が必要です。
イレウスは絶食と点滴によって軽快することが多いのですが、イレウスの状態や原因によっては緊急手術を行うことがあります。
腹部の手術歴のある人は、治療方法、イレウス治療後に気を付けるべきことについて知っておきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「イレウス(腸閉塞)」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
イレウスの治療方法

絶食しなければいけないと聞いたのですが…。
- イレウスや腸閉塞の治療はその原因によってやり方が異なりますが、絶食や点滴で腸管を休ませる治療方法が一般的です。
- 絶食を伴わない治療方法としては、炎症が原因のイレウスに対する抗菌薬を投与する方法があります。腸管の張りが強い場合に行われる治療は、胃管や小腸にチューブを留置して腸管の減圧を行う方法です。
- 腸管の癒着や糞便の詰まりによって腸閉塞が起こっている場合は、絶食したり腸管を休めたりして治療を行います。これらの治療でもイレウスが軽快しない場合や、イレウスの種類や腸管が塞がっている原因によっては手術による治療を行うことが最優先です。
どのような場合手術になるのでしょうか?
- 絶食や点滴によって腸を休ませてもイレウスが改善されない場合や複雑性イレウスによって腸管の壊死が起きている場合、大腸がんが原因でイレウスが起きている場合は脱水症状や敗血症、消化管穿孔が起こる可能性があるため手術が必要です。
- イレウスの手術は腸管のねじれを解消するほか、壊死している部分を切除する目的で行われます。イレウスの主な手術方法は、腹部を大きく開ける開腹手術と腹部に小さな穴を空けて腹腔鏡というカメラを使用した腹腔鏡手術の2つです。
- 腹腔鏡手術は開腹手術に比べて傷が小さいため痛みが少なく、体の負担が少なくて済みます。また、腹腔鏡手術は術後の回復も良好です。
- イレウスの状態によっては、腸管の塞がっている部分にステントと呼ばれる腸管を広げる器具を留置する処置も必要です。
完治まではどのくらいの期間かかりますか?
- イレウスが発症した場合、多くは絶食を伴う治療によって腸管の閉塞を解消させる治療を行います。無事腸管の閉塞が軽快すれば徐々に食事形態をあげていき1〜2週間程度で退院となるケースが一般的です。
- 手術が必要なイレウスの場合は、腹腔鏡手術を行う方が身体への負担が少なく再発する可能性も低いことから完治までの期間を短くすることができます。
- 他にも疾患がある場合は、症状が治まるまで数日入院が必要となることもあります。
治療後に気を付けることはありますか?
- イレウスの治療が終わっても、再発を防ぐためには特に食生活について十分気を付けましょう。
- ゴボウやきのこなどの食物繊維の多い食材は避ける・ゆっくり噛んで食べる・水分をしっかり摂る・暴飲暴食しないことを心がけましょう。
- 特に腹部に手術歴のある人は腸管の癒着が起こりやすいとされているため、イレウスを疑うような症状がみられる場合はすぐに医療機関を受診することが大切です。
- 再発予防のために漢方薬(大建中湯)を継続的に内服するという方法もありますが確実に予防できるわけではないため、症状が現れたらすぐに医療機関を受診しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- イレウスの原因で最も多い事柄は、腹部手術後に腸管が癒着することによって発生するケースです。
- 腹部の手術歴のある人は、イレウスを予防するために消化の良い食事や適度な運動を行うようにしましょう。
- もし吐き気を伴う便秘や腹部膨満感が続く場合は腸管の閉塞が起きている可能性があるため、早めに医療機関を受診するようにしてください。
編集部まとめ

イレウスを発症する原因はさまざまですが、最も多いのが腹部の手術後に起こる腸管の癒着です。
特に消化器の手術を受けたことのある人は、普段から腸に負担をかけないような生活習慣を目指しましょう。
イレウスは放っておくと腹膜炎による腸の破裂など命にかかわる病状となる恐れがあります。
イレウスを疑うような症状がある場合はなるべく早めに医療機関を受診するようにしましょう。
腹痛や吐き気などの症状が軽いうちに腸管の閉塞を解消させることが大切です。