「離人症」になると感じる症状や感覚はご存知ですか?医師が監修!
離人症とは、周囲の出来事や人、自分自身などに対して現実感がなくなり、自分の感覚が普段と異なると感じる症状を示す病気です。離人症は10代から20代での発症頻度が高い とされています。
今回は、離人症について、症状、検査・診断、治療法を解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「離人症」とは?症状・原因について詳しく解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
岡田 夕子(医師)
離人症とは
離人症とは、どんな病気ですか?
離人感とは身体や精神から自分が切り離されたような感覚で、自分の生活を外から観察しているような感覚や自分が外界から切り離されているように感じます。
離人症状は一時的に発症する場合だけでなく、離人症状が生涯続く慢性離人症も見られます。
離人感や現実感消失は、離人症患者だけでなく、他の精神障害の症状としても見られる場合やけいれん性疾患などの身体的な病気の症状としても見られます。
患者に発生する離人感や現実感消失が薬物や他の精神障害によるものではなく、ひとりでに発生し、長期間持続したり、繰り返し発症したりする場合や、症状により患者が大きな苦痛を感じたり、家庭や職場で役割を果たせなかったりする場合は、離人症 と診断します。
離人症の発症は10代から20代に見られ、特に幼児期や小児期中盤に多く、40歳以上での発症はまれです。人口の2%程度に発症し男女差はありません 。
一時的な離人感や現実感消失は、よく見られる症状で生涯に約半数の人が経験しています。特に生命を脅かすほどの危険な経験、幻覚剤、マリファナ、ケタミン、エクスタシーなどの特定薬物の使用、激しい疲労、断眠、集中治療室での治療中に見られる感覚刺激の喪失などの後 に多く見られます。
離人症の症状
離人症の症状はどのようなものですか?
これらの感覚はまるで周りの世界と自分の間にベールがあり、世界がぼやけているような感じと表現されたりします。
また、これらの症状は本人に耐えがたいほどの激しい苦痛をもたらし、不安や抑うつが見られます。多くの患者は、これらの症状の原因が脳に回復不能な異常が起きたからではないか、正気を失いかけているのではないかと不安 になります。
しかし、これらの離人症状を感じている間も、意識の混濁や見当識障害はなく、現実検討能力は保たれており、この点で精神性障害とは区別 されています。精神性障害の患者では自身の異常に対する認識が欠如しています。
多くの場合、離人症状は単独ではなく解離性障害など他の症状と同時に現れます。
離人感の症状は、徐々に現れたり、突然現れたりなど、出現期間はほんの数時間から数年におよぶ場合まで様々です。
症状の出現パターンは3つあり、症状の発生と消失を繰り返す人、症状が持続的に発生する人、症状が断続的から継続的になる人、それぞれ3分の1の患者で見られます。
離人症は悪化と軽減を繰り返し、重症化すると症状が数年から数十年続くこともあります。
離人感の症状
現実感消失の症状
例えば物がぼやける、異常に明瞭に見える、実際よりも平板に見えたり、大きさが違って見えたりします。音についても、実際と異なる大きさで聞こえたり、時間が現実と異なる速さで経過していると感じたり します。
その結果自分が本当に存在しているか不安になり、自分の知覚が現実のものかどうか繰り返し確認してしまうのです。
編集部まとめ
離人症による離人感や現実感消失症状は、特に離人症の原因となっているストレス要因が明確な場合には完全な回復が期待できます。しかし、治療を行っても治療効果が慢性化する場合や自然に緩解する場合も見られる疾患です。
参考文献