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「拒食症を治療する前に注意すること」は何かご存じですか?医師が解説!

 公開日:2025/11/28
「拒食症を治療する前に注意すること」は何かご存じですか?医師が解説!

拒食症は過度なダイエットの結果たどり着くイメージがありますが、ストレスなど心理的要因により必要な栄養摂取を拒む摂食障害に分類される精神疾患の1種です。

とくにやせ信仰の強い10~20代の若い女性のおよそ1000人に1人の割合で発症します。極度な体重減少がみられる場合は命にかかわり、治療も困難なため軽視できません。

今回拒食症の治療方法について詳しく解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「拒食症」とは?原因や症状についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 直

監修医師
伊藤 直(医師)

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所属:平成かぐらクリニック院長 メンタルアシストプログラム総責任者、一般社団法人 健康職場推進機構理事長、医療法人社団 平成医会 理事

著書:精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法

拒食症の治療方法

子供の手を握る人

精神的な問題が原因の場合はどう治療しますか?

  • まずは外来のカウンセリングのみで食行動の改善や心理的要因の克服を図ります。入院措置は重篤な栄養失調状態により身体がやせ衰え、無月経や電解質異常・肝機能障害などを併発している場合です。薬物療法は適切な栄養補給と月経の再開を促すホルモン剤やカリウム剤に不足した栄養素を補うビタミン剤、必要に応じ抗うつ剤の投薬が代表的です。そして心理的療法としてメンタルのケアなど身体と心の両面へアプローチする治療をおこないます。
  • 拒食症の多くは強いストレスや自己肯定感の低さ、学校や職場・家族間の対人関係の悩みやトラブルなどが背景にあります。そこから抑うつ状態や強迫神経症・自傷行為など心の病を合併するケースがあり、改善には抗うつ剤や精神安定剤を用いた薬物療法が必要です。
  • ただし薬物療法だけでは問題は解決しないためカウンセリングや認知行動療法などと組み合わせるのが一般的です。

治療する前の注意点を教えてください。

  • 拒食症とはわがままから起こるものではありません。
  • 一番辛い思いをしているのは自分の意思で食行動をコントロールできない患者本人のため、何はさておき身近な人間が拒食症への正しい知識を得て注意深く見守っていきましょう。
  • そして適切なサポートをしつつ手遅れにならないうちに専門の機関への受診を促すことが重要です。

患者の周りの人が気をつけるべきことはありますか?

  • 拒食症から下剤・睡眠薬の過剰摂取や自殺念慮を抱くようになる場合もあるため注意が必要です。
  • 実際拒食症など摂食障害をもつ患者の死亡率は一般に比べ十数倍、自殺率は約二百倍に跳ね上がります。
  • このような悲劇を招かないようまずは家族や友人など周りの人が拒食症に対する理解を深め、患者本人をきちんとサポートすることが肝心です。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

  • メディアやSNSなどでは有名人ばかりか一般の方までモデルのような女性が登場し、やせていることがもてはやされています。若い女性はそれらの影響に感化されやすく、拒食症に陥った原因はちょっとしたダイエットというケースがほとんどです。
  • またそのような方は人間関係のトラブルや自尊心の低さを抱えている背景があります。やせることで得た成功体験が忘れられず、異常な食行動を続けると今度は過食に走る傾向があります。このような食への罪悪感からまた拒食のループにはまって心身ともに衰弱しきってからでは手遅れです。
  • 食事がうまくとれないことに加えメンタル面での不調があるならまずは心療内科を受診してみることをおすすめします。

編集部まとめ

健康的な女性
拒食症とは「太りたくない」という恐れからくる深刻な摂食障害のことです。

しかし背景には単にやせてスタイルを保ちたいという願望だけでなく、自身のボディーイメージに対する認知の歪みに加えて学校・職場・家庭でのトラブルなどさまざまな要因がからみあって起こります。

また食べることへの罪悪感からかえって盗み食いや過食を引きおこし、深刻な心の病も併発するケースも多いため治療には食行動の改善だけでなく、身体面・精神面でのケアが必要です。

それには同居者や身近な人間の拒食症に対する正しい理解や協力が何より重要なため、まずはご家族と内科や心療内科などの専門医に相談してみましょう。

この記事の監修医師

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