パニック障害は治せる? SSRIと抗不安薬を組み合わせた治療法と継続期間【医師解説】

突如、動悸などの症状を引き起こす「パニック障害」は、決して珍しい疾患ではありません。今回は、パニック障害はどのようにして治療を進めるのか、「シモキタよあけ心療内科」の副島先生に解説していただきました。

監修医師:
副島 正紀(シモキタよあけ心療内科)
編集部
突然、何の前触れもなくパニック発作が起きるのは怖いですね。
副島先生
パニック障害は決して珍しい疾患ではなく、2005年におこなわれたアメリカの調査によると、生涯有病率は4.7%と言われています。つまり、100人中4〜5人は生涯において一度はパニック障害を発症するということです。そのため、パニック障害になったときのために、治療法や対処法を知っておくことはとても役立つと思います。
編集部
パニック障害を発症する原因について教えてください。
副島先生
現時点では解明されていませんが、遺伝子の問題や脳内伝達物質の誤作動が関わっていると考えられています。発症には精神的・身体的ストレスが引き金となることが多く、カフェインや喫煙が関係しているという説もあります。
編集部
パニック障害は治すことができるのですか?
副島先生
パニック障害は、薬物療法と精神療法を組み合わせて治療するのが一般的です。薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やベンゾジアゼピン系抗不安薬などを用います。SSRIは抗うつ薬として開発された薬剤で、「セロトニン」といういわゆる“幸せホルモン”を脳内で増やし、不安感を和らげる効果が期待できます。一方、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は抗不安薬の一種であり、脳内の神経伝達物質である「GABA」の働きを強めて不安や筋肉の緊張を和らげる効果があります。
編集部
薬を飲み始めたらずっと続けなければいけないのですか?
副島先生
パニック障害の治療で用いるSSRIは、効果が出現するまで3週間程度かかります。その間、発作が起きなくても必ず医師の指示に従って飲み続けましょう。また、パニック障害は再発しやすい疾患なので、症状が落ち着いてきたといっても、半年くらいは服用を継続することが必要とされています。
※この記事はメディカルドックにて<「パニック障害」が起きるキッカケや初期症状はご存知ですか? 薬物療法・精神療法も医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




