子ども時代の生きづらさは「発達障害」だった? 医師が語る大人になって発覚する「大人の発達障害」とは

現在、大人の発達障害が増えているといいます。厚生労働省が行った調査などでもその傾向は明らかになっており、今後、働きづらさや生きづらさを抱えた大人が増えることも予想されます。大人の発達障害は子ども時代の発達障害が大人になってから発覚したケースも多いそうです。今回はそのことについて、渋谷365メンタルクリニックの渡辺先生に教えてもらいました。

監修医師:
渡辺 佐知子(渋谷365メンタルクリニック)
編集部
子どもの時に、本人も生きづらさなどを感じていたのでしょうか?
渡辺先生
なにかしらの「違和感」は感じていたのではないかと思います。発達障害の治療で通院している方のなかにも、子どもの時、「学校になじめなかった」「学校でいじめられていた」「通信制に転校した」「不登校気味だった」などと振り返る方が多いのです。
編集部
子どものときに発達障害に気づくチャンスはあったけれど、そのまま社会人になってしまった、ということなのですね。
渡辺先生
そうですね。生きづらさを抱えて、挫折し、成長し、大人になり、せっかく社会人になったのですから、私個人としては「障害」という言葉はあまり使いたくありません。「障害」ではなく「個性」としてポジティブに捉えていただきたいです。現実問題としては、仕事ではミスが続いてしまい、上司に叱られ、周りにも冷たくされることがあります。会社ではいろいろな問題に直面することも多くなりますし、クレームや要求に対処しなければならないこともあります。そのため発達障害の特性が浮き彫りになって、必要以上の叱責を受けたり、場合によっては人格否定されてしまったりするケースもあります。
編集部
それは、本人としてはとても辛いですね。
渡辺先生
本当に辛いと思います。よくがんばって耐えてきたなと感じながら診察をしています。診察はいつからでもできます。決して諦めてしまわずに、不安と迷いが混在していて構いませんので、自ら受診してほしいと思っています。
※この記事はメディカルドックにて<「働く大人の発達障害」が増加中 具体的な症状とその対処法をご存じですか?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




