健康診断の数値は大丈夫? 脂肪肝の症状や進行したときのリスク【医師が解説】

「脂肪肝」は、肝臓に過剰な脂肪が蓄積された状態のことです。しかし、単に「脂肪がついた状態」ではなく、多くの病気のリスクとなり得るのだそうです。今回は、脂肪肝の症状や進行したときのリスクについて、「まつい内科医院」の松井太吾先生に解説していただきました。

監修医師:
松井 太吾(まつい内科医院)
編集部
脂肪肝になると、どのような症状が出ますか?
松井先生
基本的に、初期の段階では症状がほとんどありません。進行すると、倦怠感や肝臓の腫れ、右肋骨下の痛みなどが出てきますが、症状を自覚した時点で、かなり進んでいると考えられます。
編集部
脂肪肝が進行するとどうなるのですか?
松井先生
アルコール性・非アルコール性どちらの場合も、進行すると「肝炎」「肝硬変」「肝がん」を発症するリスクが高くなります。また、先ほど「脂質異常症や糖尿病が脂肪肝の原因になる」とお伝えしましたが、これらは相互に影響し合っています。そのため、脂肪肝があると糖尿病を発症するリスクも高まります。
編集部
様々な病気のリスクが高まるのですね。
松井先生
そのとおりです。ほかにも、「大腸がん」や「乳がん」などの悪性腫瘍の発症率も高くなるという報告もあります。加えて、糖尿病や動脈硬化による腎臓病や心血管疾患、末梢神経障害などのリスクも高まります。
編集部
「肝臓に脂肪がついただけ状態」ではないのですね。
松井先生
脂肪肝は単なる「状態」ではなく、様々な病気のリスク要因の1つです。ただし、脂肪肝からここまで悪化してしまうのはごく少数です。早期に発見して適切な対応をすれば、病気になるリスクを下げることができます。
※この記事はメディカルドックにて<アルコール以外の「脂肪肝」の原因はご存じですか? 症状・進行したときのリスクも医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。