神経ブロック注射治療の流れとは? 注射体勢・全手順を医師が解説

痛みを根本から解決できる可能性があるとして、期待を集めている「神経ブロック注射」。一体、どのような流れで治療がおこなわれるのかご存じでしょうか? また、費用の目安も気になるところです。今回は、神経ブロック注射の治療の流れについて「こすぎ坂本医院」の坂本先生に解説していただきました。

監修医師:
坂本 典昭(こすぎ坂本医院)
編集部
神経ブロック注射はどのようにしておこなわれるのですか?
坂本先生
ここでは、神経ブロック注射のなかでも代表的な硬膜外ブロック注射を例に挙げて説明します。まずは、事前に患者さんの既往歴や内服薬などを確認します。特に服用している薬を確認することは重要で、抗血小板薬や抗凝固薬など血液をサラサラにする薬を服用している場合は、硬膜外ブロックをおこなうことができません。
編集部
なぜ、血液をサラサラにする薬を服用していると治療できないのですか?
坂本先生
神経ブロック注射をしたとき、体の奥で出血するリスクがあるからです。その場合、深部に血腫が作られて神経を圧迫したり、気道を閉塞したりするリスクがあることから、血液をサラサラにしている薬を服用している人は神経ブロック注射の前に、一定期間休薬する必要があります。また、採血で出血傾向がないか、感染症の有無などをチェックすることもあります。
編集部
事前確認が終わったらどうするのですか?
坂本先生
硬膜外ブロックの手技の内容や経過においての注意点、リスクを患者さんに説明します。そして、同意を得てから処置室へ移動します。体格がいい人や脊椎の手術を受けた後の人などは、X線透視装置を使って精密に注射位置を決定する場合もあります。
編集部
どのような体勢で注射をするのでしょうか?
坂本先生
処置室の場合には左下で横向きになり、背中を丸めた体勢で注射します。一方、X線透視装置を使う場合にはうつ伏せとなり、お腹の下にクッションを使用して背中を丸めた体勢で注射します。なぜ、このような体勢になるかというと、硬膜外ブロック注射では「硬膜」という脊柱管の中を通る脊髄を覆っている膜の外側に注射をするからです。こうした体勢を取ることで、背中の硬膜外腔にアクセスしやすくなります。
※この記事はMedical DOCにて<「神経ブロック注射」の費用はご存じですか? 治療の流れ・種類・効果も医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。