「大腸がん」は自覚症状ゼロでも進行する? 大腸カメラを受けるべき理由【医師解説】

大腸カメラ(大腸内視鏡)の検査中、お腹を押されたり、「体の向きを変えてください」と言われたりすることがあります。今回は大腸カメラ検査を受ける人が知っておくべきことについて、「横浜内科おなかクリニック」の山田先生に解説してもらいました。

監修医師:
山田 晃弘(横浜内科おなかクリニック)
編集部
大腸カメラをスムーズに挿入するための工夫は、どのような目的で行われるのでしょうか?
山田先生
大腸は曲がりくねっているだけでなく、内部に半月ひだ(ハウストラ)があり、それがウネウネと動いているため、カメラの死角ができてしまいます。この死角を可能な限り少なくして隅々まで見ることが、異常の早期発見につながるのです。
編集部
早期発見が大事なのですね。
山田先生
はい。先ほど大腸ポリープは検査中に切除できると説明しましたが、粘膜内や粘膜下層までの早期の大腸がんも同様に、検査中にその場で切除することが可能です。しかし、それより深く浸潤してしまっていると開腹手術が必要となったり、抗がん剤治療なども行わなければならなくなったりします。初期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、症状がない人もぜひ一度、大腸カメラを受けていただきたいです。
編集部
特に、大腸カメラを受けたほうが良い人はどんな人ですか?
山田先生
便秘や下痢などの便通異常がある方はもちろんですが、大腸がんは40代以降に患者数が増える傾向があるため、40歳を過ぎたら一度検査を受けることをおすすめします。また、ご家族や親戚に大腸がんの方がいる場合や過去にポリープ切除を受けたことがある方も注意が必要です。定期的な検査で、大腸がんの予防や早期発見・早期治療を心掛けましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山田先生
大腸がんは日本人に多いがんの一つですが、定期的な検査で早期発見すれば、5年生存率は95%以上と予後の良いがんです。自覚症状がなくても安心せず、40歳を過ぎたら検査を受けることをおすすめします。検査の前処置はやや大変かもしれませんが、近年は検査食も飲みやすくなり、また、苦痛の少ない検査方法も確立されているため、以前より受けやすくなっています。ご自身の健康を守るためにも、定期的な検査を心がけましょう。
※この記事はMedical DOCにて<大腸がん調べる「大腸カメラ」がスムーズに入らない人にはどんな問題が?【医師解説】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。