頭をぶつけて「少し痛いだけ」でも危険? 命に関わる“見逃せない症状”を医師解説

頭をぶつけた後に「痛みが引いたからもう大丈夫」と油断している人はいませんか? じつは、痛みが引いたからといって安心できない場合もあるそうです。今回は頭部を打撲した際の受診の目安について、「なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック」の青山先生に解説していただきました。

監修医師:
青山 尚樹(なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック)
編集部
頭部打撲の受診の目安を教えてください。
青山先生
例えば、「頭が痛い」「元気がない」「吐き気がある」「嘔吐した」「ものが見えにくい」「耳や鼻から出血がある」といった症状がみられる場合には、できるだけ早く受診してください。「手足がしびれる」「麻痺している」「痙攣(けいれん)がみられる」といった場合にも受診が必要です。
編集部
頭を打った場合、どのような疾患が考えられるのでしょうか?
青山先生
脳震盪や外傷性くも膜下出血、脳挫傷、急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫といった疾患の可能性が考えられます。場合によっては緊急性が高く、命のリスクになることもあります。
編集部
頭を打つことで命に関わることもあるのですか?
青山先生
はい。例えば、急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫は危険性が高い疾患です。硬膜とは脳を覆う3層の膜のうちの1つで、硬膜と脳の間で出血するものを硬膜下血腫、骨と硬膜の間で出血するものを硬膜外血腫と言います。急性硬膜下血腫は受傷直後から意識障害、手足の痺れ、麻痺、嘔吐などの症状がみられることがある一方、急性硬膜外血腫は外傷後数時間が経過してから症状が表れるのが特徴です。場合によっては緊急手術になることもあるので、このような症状がみられたら、ただちに病院へ搬送するようにしましょう。
編集部
そのほかに気をつけたい疾患は?
青山先生
外傷性くも膜下出血はくも膜と脳の間で出血が起こるもので、場合によって入院が必要になります。また、脳挫傷は記憶障害など、高次脳機能障害を引き起こす可能性があります。「嘔吐が続く」「記憶障害がみられる」「痙攣をしている」などは危険な症状の一例であり、これらの疾患のサインかもしれません。症状や事故の状況をしっかり把握し、おかしいなと思うことがあれば早めに医療機関を受診するようにしましょう。
※この記事はMedical DOCにて<頭を打ったときの注意点・対処法はご存じですか? 「頭部打撲」の放置リスクを医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。