知らずに“危険な水”を使っていませんか? 「 加湿器肺炎」を防ぐ掃除&水の選び方【医師解説】

風邪などの予防のために秋や冬になると加湿器を使用する人も多いと思います。しかし実際、加湿器が原因となって肺炎になることがあるのをご存知ですか? 一体加湿器肺炎はどう気をつけたら良いのかなど、かつぬま内科クリニックの勝沼先生にメディカルドック編集部が聞きました。

監修医師:
勝沼 伸英(かつぬま内科クリニック)
編集部
加湿器肺炎を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
勝沼先生
まずは加湿器のメンテナンスが大切です。加湿器のなかの水は毎日取り替えるなど、きちんと手入れをするようにしましょう。それから加湿器のなかに入れる水は、ミネラルウォーターではなく水道水を使用すること。ミネラルウォーターはカビや菌が繁殖しやすいので、使わないようにしましょう。
編集部
昨年しっかり清掃せずに片付けたものを、今年また取り出して使うということは危険ですね。
勝沼先生
はい。シーズンが終わって片付けるときには、必ずきちんと清掃することが必要です。その際には取り扱い説明書をしっかり読んで、メーカーが説明している方法で正しく清掃をするようにしましょう。加湿器の清掃には、クエン酸や加湿器専用の洗剤を使うことが推奨されています。
編集部
ほかに気を付けることはありますか?
勝沼先生
トレイやフィルターなども定期的に掃除しましょう。気化フィルターや吸気グリルの清掃方法などは、取扱書に載っていると思います。それらを参考にしてこまめに清掃することが必要です。
編集部
加湿器にはさまざまな種類がありますが、肺炎を予防するにはどのようなものが良いのでしょうか?
勝沼先生
気化式、スチーム式、ハイブリッド式、超音波式などさまざまな種類がありますが、そのうち気化式や超音波式はタンクの水をそのまま微粒子として室内に噴霧します。そのため、カビや菌が広がりやすいという欠点があります。一方、ハイブリッド式の一部やスチーム式は水をヒーターで加熱してから使用するため、カビや菌の増殖を防ぐことができ、加湿器肺炎の予防に効果的です。厚生労働省も「レジオネラ属菌は60度で5分間殺菌するため、水を加熱して蒸気を発生させるタイプの加湿器は、感染源となる可能性は低い」と述べています。これから加湿器を選ぶ際に、参考にしてください。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあれば。
勝沼先生
加湿器で肺炎になることがあるからといって、「加湿器を使わない」と判断するのは早計。風邪や感染症対策のためにも、部屋をしっかり加湿することは重要です。その際には適切な使用を心がけるようにしましょう。もし自宅に加湿器がない場合には、洗濯物を室内に干したり、就寝中濡れたタオルを枕元に吊るしたりすることでも良いと思います。そうした加湿をしっかり行っても咳が続くなど、感染症が疑われるときには、なるべく早く病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて<加湿器で肺炎になるのをご存じですか? 表れる症状とは? 予防や治療法も医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。