早期発見が“命を救う”! 「大腸カメラ」で大腸がんを早期発見することの重要性【医師が解説】

日本におけるがんの罹患数1位の「大腸がん」。しかし、早期に発見できれば5年生存率は90%以上とされています。その鍵を握るのが、「大腸カメラ検査」です。大腸カメラは大腸がんの早期発見に加え、その前段階であるポリープの発見や切除にも有効です。今回は、大腸カメラによる早期発見の重要性や検査時の工夫について柏木先生に解説していただきました。

監修医師:
柏木 宏幸(池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院)
編集部
大腸カメラで大腸がんを早期発見することには、どんなメリットがありますか?
柏木先生
早期に発見することで治りやすく、内視鏡など体に負担の少ない方法で手術ができるというメリットがあります。現在、大腸がんは日本におけるがんの罹患数で1位、死亡数で2位を占めています。しかし、大腸がんは早期に発見すれば、5年生存率は90%以上とされています。そのためにも大腸カメラによる早期発見が重要なのです。
編集部
大腸カメラでがんを早期発見したら、どうしたら良いのでしょうか?
柏木先生
初期であれば内視鏡による手術を検討します。開腹せず、内視鏡で手術を行うことで入院日数が短くなり、また、体への負担も少ないので回復までの時間が大幅に短縮できるようになります。また、がんの前兆とされる大腸ポリープが見つかった場合にも、できるだけ小さい時期に内視鏡で切除することでがんの発症を予防することができます。
編集部
しかし、大腸カメラの検査は苦しい、痛いという話を聞くことがあります。
柏木先生
確かにそのような話を聞くこともあり、ネガティブなイメージのために検査を受けることを拒む方も多く見受けられます。しかしその結果、本来であれば検査を受けなければならない人が受けずに、がんが進行してから発見されることも少なくありません。特に腹部の手術歴があり腸管の癒着がある人や、細身の人は痛みが見られることが多いのですが、鎮痛剤や鎮静剤を使用すればほとんど苦痛なく、検査を受けることは可能です。気になることはなんでも医師にご相談ください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
柏木先生
大腸がんは年々増加傾向にあり、死因の上位の疾患です。しかし早期発見・早期治療をすれば命が助かる確率は高くなります。大腸の病気は潰瘍性大腸炎やクローン病、痔核などいろいろあり、血便が出て自分では痔かと思っていたけれど実は大腸がんだった、ということも数多く経験しています。そうしたことがないよう、積極的に検査を受けて欲しいと思います。5年後や10年後、家族や友人と過ごす時間を楽しむためにも、ぜひ、健康を考えるきっかけになればと思います。
※この記事はメディカルドックにて【検便の「陽性」がどれほどヤバいかご存じですか? 要精密検査が示す大腸がんリスク】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。