見逃すと危険!早期発見が鍵となる「大腸ポリープ」の治療・予防方法について【医師が解説】

大腸ポリープは、放置すると将来的に大腸がんへ進展するリスクがあります。現在では内視鏡による切除が一般的で、検査と同時に治療できるケースも少なくありません。生活習慣、そして遺伝的な要因も発症に関わるため、予防と早期発見の両面から対策をとることが大切です。今回は、大腸ポリープの治療と予防方法について柏木先生に解説していただきました。

監修医師:
柏木 宏幸(池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院)
編集部
大腸ポリープを切除するには内視鏡を使うのですか?
柏木先生
現在では内視鏡を使った治療が一般的です。近年では大腸カメラで検査を行っている最中、大腸ポリープが見つかった場合には、病変の一部を採取して病理検査に出したり、その場でポリープを切除したりすることもできます。
編集部
大腸ポリープは一度切除したら、再発することはないのでしょうか?
柏木先生
いいえ。ポリープは一度切除しても、そのほかの部位に発生する可能性があります。そのため、定期的に便潜血検査や大腸カメラ検査などを受け、新しくポリープが作られていないか確認することが必要です。定期検査を受けることで、新たな病気の発見につながることもあります。また、大腸はひだ状になっているためポリープの種類によっては見えづらいこともあります。そのため、繰り返し検査を受けることで発見の確率が高まります。
編集部
大腸ポリープを予防するにはどうしたら良いのでしょうか?
柏木先生
完全な予防法はないので、検査を受けるなどして早期発見に努めることが重要になります。ただし大腸ポリープの発症には、食生活、運動習慣、遺伝的要因が深く関与しています。食事でいえば、高脂肪、高タンパク、低繊維の食事を続けると大腸ポリープが作られやすくなり、また、過度の飲酒や肥満、喫煙なども大腸ポリープの危険因子となります。そのほか運動不足も要注意です。
編集部
生活習慣を見直すことも必要ですね。
柏木先生
はい。それから遺伝的要因も重要です。大腸がんは親子間で遺伝する可能性があることがわかっています。親子兄弟などの血縁関係者に大腸ポリープや大腸がんと診断された人がいる場合には、大腸がんになるリスクは3倍程度とされています。そのような場合には、定期的に大腸カメラの検査を受け、ポリープの早期発見に努めると良いでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
柏木先生
現在、日本では40代から大腸カメラの検査を受けることが推奨されています。しかし実際には、20代や30代などの若い人でも大腸がんを発症することがあります。もしなんらかの自覚症状があったり、親や兄弟に大腸がんと診断された人がいたりする場合には年齢問わず、検査を受けることをお勧めします。受診したからといって必ずしも検査を受けなければならないことはありませんし、また検査を受けることで不安が解消されることもあります。不安なことがあれば、まずは気軽に医療機関に相談してほしいと思います。
※この記事はメディカルドックにて【「大腸がん」の前兆 リスクを高める大腸ポリープの正体! 良性・悪性の違いとは?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。