こんな症状に要注意! 「糖尿病」の3大合併症について症状やそのリスクを医師が解説

糖尿病の怖さは「血糖値の高さ」そのものではなく、そこから波及して起こる合併症にあります。神経障害や網膜症、腎症など、全身に影響を及ぼす合併症の数々は、生活の質を大きく損なうだけでなく、死に至ることも少なくありません。今回は、糖尿病に伴う代表的な合併症とそのリスクについて、髙橋先生に伺いました。

監修医師:
髙橋 紘(いんざい糖尿病・甲状腺クリニック)
編集部
細い血管がダメージを受けるとは?
髙橋先生
血糖値が慢性的に高い状態が続くのは、いわば水道管が錆びてしまうようなもので、全身の血管がボロボロになります。特に怖いのは、細い血管。太い血管よりも細い血管の方が糖によるダメージを受けやすく、傷つきやすいのです。このように細い血管がダメージを受けることによって発生する合併症を、「細小血管合併症」と言います。神経、網膜、腎臓はいずれも細い血管が張り巡らされる部位であり、それらがダメージを受けることによって障害が発生するのです。
編集部
それぞれの合併症について、もう少し詳しく教えてください。
髙橋先生
糖尿病神経障害は糖尿病の合併症として最も多く起きるもので、感覚神経や運動神経、自律神経などに障害が起きることによって、様々な症状が出現します。例えば、感覚神経に障害が起きれば、足先にしびれや痛みを感じたり、物に触れた時の感覚が鈍くなったりします。また、運動神経に障害が起きれば筋力が低下して歩きにくくなるほか、筋肉痛や足の強張りがみられることもあります。自律神経に障害が起きると、立ちくらみ、発汗障害、消化不良、排尿障害などが起きます。
編集部
続いて、糖尿病網膜症とは?
髙橋先生
血糖値が高い状態が長く続くことで、網膜の細い血管が少しずつ障害され、変形したり詰まったりします。血管が詰まるとすみずみまで血液が行き渡らなくなるため、網膜が酸欠状態となり、新しく異常な血管を作って酸素を補給しようとします。しかし、新しい血管は脆いため、すぐに破れて出血を起こします。それが原因となって網膜剥離を起こすことがあります。糖尿病の合併症である糖尿病網膜症は、成人の失明原因の上位に位置するため、注意が必要な疾患です。
編集部
糖尿病性腎症についてもお願いします。
髙橋先生
目や神経と同じく、腎臓にも細かい血管が張り巡らされています。特に、血液を濾過するフィルターである「糸球体」は、網の目のように血管が走行している組織です。この糸球体の血管が糖尿病によって障害を受けると目詰まりを起こし、老廃物を濾過できなくなります。その結果、血液中に余分な老廃物や塩分が溜まります。初期にはほとんど自覚症状はありませんが、やがてむくみ、貧血、高血圧などを引き起こし、最終的には人工透析や腎移植が必要になります。
※この記事はメディカルドックにて【糖尿病の合併症「しめじ」と「えのき」はご存じですか? 合併症の怖い症状・予防法を医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。