「高血圧」はいつから危険? 最新ガイドラインが示す受診目安と対策を医師に聞く

血圧の数値は、自分の健康状態を知るうえで重要な指標が具体的に、どのくらいの血圧になったら注意が必要なのでしょうか? 最新のガイドラインでは、上の血圧が130mmHg台でも要注意とされ、早めの受診が勧められています。上の血圧と下の血圧の違い、低すぎる血圧のリスクまで、河西先生に解説していただきました。

監修医師:
河西 研一(河西クリニック)
編集部
数値的には血圧がどれくらいになったら気をつける必要があるのでしょうか?
河西先生
最新の2019年度版・高血圧治療ガイドラインの診断基準では、「上の血圧が140mmHg以上」になったら高血圧症と診断されます。ただ、この新しいガイドラインでは、130mmHg以上でも異常値と定義していることから、上の血圧が130mmHg台になったら一度は循環器内科を受診することをおすすめします。
編集部
早めの受診を推奨するのはどうしてでしょうか?
河西先生
数値が140mmHg台になってから受診したら、降圧剤などの薬を飲むことを避けられないケースが多いからです。でも、130mmHg台の段階で専門医に相談してもらえれば、多くの方は生活習慣を修正するなどして、薬を飲むのをだいぶ遅らせることができます。とくにタバコを吸う方は、早めの対策が必要ですから130mmHg台になったら、ぜひ受診していただきたいです。
編集部
血圧が130mmHg台以上で受診すると、具体的にはどんな指導が行われるのでしょう?
河西先生
まずは、なぜ血圧が高いかを調べます。高血圧には、タバコを吸う、高齢である、家系に高血圧の人がいる、糖尿病であるなど様々なリスクファクターがあるので、その危険因子の数によって、リスク段階を診断します。その結果、原因が生活習慣にあるとわかれば、まずは生活習慣を改善してもらうよう指導します。中には、130mmHg台でも即治療したほうがいい人もいらっしゃいます。140~150mmHgの人の場合も、すぐ薬を使うのではなく、2~3か月くらい生活改善を見直すことを指導することもあります。
編集部
下の血圧(拡張期血圧)はそれほど気にしなくていいのでしょうか?
河西先生
もちろん、日ごろからどちらも数値をチェックしておくことは大切ですが、循環器系の疾患からすると、より重要なのは上の血圧です。上の血圧は、わかりやすくいえば太い血管(大動脈)を押す力で、正式名は「収縮期血圧」といいます。心臓が全身に血液を送り出すために収縮したときに血管にかかる圧力です。この圧力が強すぎると、全身の血管の動脈硬化のリスクが高まってしまうため、より重要になります。
編集部
血圧が低過ぎる場合は気にしなくて大丈夫でしょうか?
河西先生
はい、若いうちは気にしなくて大丈夫です。とくに若い女性の場合、上の血圧が100mmHgを切っている方は多いですね。ただ、血圧が低過ぎて体がだるいなど、日常生活に支障がある場合は、専門医に相談に行かれたほうがよいかもしれません。また、お元気な高齢者で上の血圧が100mmHgぐらいの方が結構いらっしゃいます。それを見て、「血圧は低ければ低いほどいいのでは?」、という議論もありますが、血圧が低いから長生きとは一概にはいえません。
※この記事はメディカルドックにて【脳卒中リスクが8.5倍!? 高血圧で病気リスクはどれくらい変わる?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。