40歳から「乳がん」リスクが急上昇… 年代別おすすめ検査法を医師が解説!

乳がん検診といえばマンモグラフィが一般的ですが、公的費用助成の対象は40歳以上となっています。では、若い世代の乳がん検診はどうすればよいのでしょうか? 乳がんの罹患率や、若い世代に推奨される検診方法について、「土屋産婦人科」の土屋先生に解説していただきました。
編集部
乳がん検診の公的費用助成は若いと受けられず、40歳以降となっていますよね?
土屋先生
そうですね。若い方の乳腺組織は発達していて、マンモグラフィでの診断を難しくしているからだと思われます。仮に「ある」としたら写るはずのがん組織などが、乳腺の影に隠れたり乳腺と一緒に写ったりして、鑑別しにくいのです。
編集部
マンモグラフィってなんでしたっけ? 乳腺との関係もお願いします。
土屋先生
マンモグラフィを簡単に説明すると、「乳房をつぶして撮影するX線の画像診断機器」です。得られる画像はモノクロで、濃い乳腺ほど白く写るため、がん細胞が隠れていると見つけにくくなります。一方で、撮影者の技量に左右されにくいため、40歳以上の方に対するスクリーニングとしては適しています。どの医療機関で受けても、結果に“あまり”差が出ないということです。
編集部
若い女性の乳がんへの罹患率(りかんりつ)も気になります。
土屋先生
国立がん研究センターの発表によると、30代までの乳がんの罹患率は0.3%です。他方、40歳を超えると8%、45歳以上では11%と年齢に比例して罹患率は上昇する傾向にあります。公費をかける有用度からしても、若い方のマンモグラフィ検査には疑問が残ります。
編集部
たしかに20代の場合、乳がん検診を受けても、1000人中997人は「空振り」ですからね?
土屋先生
ただし、発症するときは発症します。もし、気にされるようなら、画像診断が比較的正確に付けられる「超音波検査」を推奨します。ただし、超音波を照射するプローブの当て方、端的に言えば「技師の腕」によって、結果に差がでかねません。公平性を欠く側面が“なきにしもあらず”なので、公費の助成対象となっていないのでしょう。ですが、自費扱いになったとしても、30歳を超えたら1年に1回、乳房の超音波検査を受けてみてはいかがでしょうか。

監修医師:
土屋 眞弓(土屋産婦人科)
※この記事はメディカルドックにて【若い人の乳がん検診はお勧めしないという医者もいるけど、結局どっちなの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。