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塩分のとり過ぎで高血圧になるのはなぜ? メカニズムと減塩がもたらす効果を医師が解説

 公開日:2025/03/22
なぜ塩分のとりすぎ・塩分過多で血圧が上がるのか“塩分摂取”と“血圧上昇”の関係を医師が解説

「塩分をとりすぎると血圧が上がる」という事実については、多くの方が知っているでしょう。しかし、塩分をとりすぎるとどのようなメカニズムで血圧が上がるのかご存知の方は少ないと思います。そこで今回は、なぜ塩分のとりすぎ、塩分過多で血圧があがるのかについて、石黒先生(いしぐろ在宅診療所岡崎)にMedical DOC編集部が取材しました。

編集部編集部

塩分をとりすぎるとなぜ高血圧になるのでしょうか?

石黒 剛先生石黒先生

塩分のとりすぎによって血液中の塩分(ナトリウム)濃度が上昇すると、血液の浸透圧を一定に保つため、すなわち血液中の塩分濃度を薄めようとするため、血管の中の血液量が増え、血圧が上がると言われています。また、血液中のナトリウムは腎臓によって体の外に排泄されますが、塩分を多くとると、腎臓にある交感神経が刺激され、それに伴い塩分の排出が抑制され、さらに血圧が上がるという悪循環に陥ることがわかっています。

編集部編集部

減塩をすることで血圧は下がるのでしょうか?

石黒 剛先生石黒先生

減塩は高血圧の発症や死亡のリスクを下げることが示されています。ただし、効果には個人差があります。高血圧患者の20〜40%は減塩により比較的速やかに血圧が下がった一方で、残りの人は減塩をしても血圧はすぐには下がらなかったという報告もあります。これは、塩分に反応しやすい「食塩感受性高血圧」であるか、反応しにくい「食塩非感受性高血圧」であるかによって異なります。「食塩感受性高血圧」の人は、血圧の心臓や血管への負担が大きく、「食塩非感受性高血圧」の人と比べて心疾患・脳血管障害の発症リスクが2倍以上になると報告されています。

編集部編集部

「食塩非感受性高血圧」の人は、減塩をする必要がないということですか?

石黒 剛先生石黒先生

「食塩非感受性高血圧」であっても、減塩が有効であることには変わりません。どちらのタイプであっても、減塩によって高血圧発症のリスクや死亡率が下がることが示されています。ただ、自分がどちらのタイプかは調べることができませんし、食塩感受性が一生変化しないものかということもまだ解明されていません。また、塩分のとりすぎだけで高血圧になるというわけではないので、肥満や喫煙、飲酒、ストレスなど、生活習慣全体の改善を通して健康を維持する必要があります。

編集部編集部

高血圧の予防・改善には、減塩を含む生活習慣の改善が有用ということですね。

石黒 剛先生石黒先生

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれることもあり、自覚症状を引き起こさないまま命を脅かすことで有名です。慢性的な高血圧は動脈硬化を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞など致命的な病気の原因となり得ます。減塩に加えて、適正体重の維持や禁煙、減酒など、生活習慣全体を改善し、病気を予防していくことが重要です。

石黒 剛

監修医師
石黒 剛(医療法人白青会 いしぐろ在宅診療所岡崎)

プロフィールをもっと見る
名古屋大学卒業。初期研修修了後、救急医療・緩和ケア・在宅医療等の経験を重ね、2019年5月に兄とともに「いしぐろ在宅診療所」を愛知県豊田市にて開院、同年10月より副院長を務める。2021年8月には2院目となる「いしぐろ在宅診療所 岡崎」を同県岡崎市にて開院し、患者を中心に家族全員の健康を支える医療を院長として提供している。また、誰でも手の届く場所に医療がある環境を創出するべく開院した「クリニックTEN渋谷」では、医療統括責任者として外来診療のみならず広報活動にも積極的に取り組んでいる。

※この記事はメディカルドックにて<「塩分のとりすぎ」が体に悪い理由とは 摂取の目安や減塩方法についても医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師

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