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高齢者の包茎に潜むリスク… 介護者の悩みを軽減するための適切な対処法を医師が解説

 公開日:2025/03/21
包茎の医学的側面と介護の課題

高齢者の包茎は、ただの見た目の問題ではありません。社会の高齢化に伴い、包茎に関する高齢者の悩みと介護者の負担が増加しています。そこで、さぎぬま泌尿器科・美容クリニックの野口先生に、包茎の医学的側面と介護の課題について詳しく解説してもらいました。

編集部編集部

高齢者の包茎に悩む介護者が増えていると聞きましたが、その実態はどのようなものですか?

野口 尊弘先生野口先生

高齢者の介護において、包茎が問題になるケースはいくつかあります。まず、高齢者では皮膚の弾力性が低下しており、包皮が狭くなることがあります。これは包茎が原因で局部を清潔に保つことが難しくなり、感染症や炎症のリスクを高める可能性があります。介護者が高齢者の包茎に悩む主な理由は、適切な局部ケアの難しさにあります。局部の清潔を維持するためには、包皮をゆっくりと引き下げて洗浄する必要がありますが、これが高齢者にとっては痛みを伴うことがあります。また、狭い包皮が原因で尿路感染症などの合併症を引き起こすこともあります。そのため、高齢者介護においては、包茎の状態を適切に管理し、必要に応じて専門医のアドバイスを受けることが重要です。日常の清潔ケアのほか、痛みや不快感、感染症の予防といった観点から、専門的なケアが求められることもあります。

編集部編集部

介護者が言葉がけをして、自身の陰部を洗ってもらうように伝えれば良いのでしょうか?

野口 尊弘先生野口先生

もちろん自己ケアができるのであれば、それに越したことはありません。しかし、身体介護が必要となる高齢者のほとんどの場合、自分の陰部のケアを行うことが難しくなるため、介護者はこれらのタスクを引き受けることが多くなります。しかし、陰部のケアは非常にデリケートな問題であり、介護者にとって精神的および肉体的な負担が大きいです。

編集部編集部

確かに非常に繊細な場面となりそうですよね。

野口 尊弘先生野口先生

多くの介護従事者や家族は、高齢者のプライバシーと尊厳を尊重しながら適切なケアを提供するという原則を理解しています。しかし、この原則は介護を行う人々にとって時に大きなプレッシャーとなることも事実です。

編集部編集部

「相手が嫌がっているのに今行う必要があるのか?」「利用者本位(利用者主体)に反しないか?」「自分の価値観を押し付けてはいないか?」などの罪悪感のような感情でしょうか。

野口 尊弘先生野口先生

その通りです。介護現場では、認知症や麻痺などにより自己ケアが難しい高齢者が陰部洗浄などの介助を拒否することがあります。このような状況は、介護者にとって特に重大な課題となり得ます。

編集部編集部

この課題を解決させるための介護者に求められる行動はどのようなものがあるのでしょうか?

野口 尊弘先生野口先生

定期的な医療機関でのチェックや専門医への相談が有効です。これにより高齢者の包茎に関連する健康リスクを管理し、適切な治療を受けることが可能です。介護者が感じるプレッシャーの視点で考えても、陰部洗浄を拒否する高齢者さんに対して「お医者さんからの指示です」と言えた方が介護者自身、気持ちがラクになりませんか?

編集部編集部

たしかにその通りですね。

野口 尊弘先生野口先生

また、それには介護者に高齢者の包茎に起因する健康リスクを理解してもらうということも重要な目的になっています。この知識は、適切なケアを行うために不可欠であり、高齢者の健康と安全を守る上で役立つからです。

野口 尊弘

監修医師
野口 尊弘(さぎぬま泌尿器科・美容クリニック)

プロフィールをもっと見る
帝京大学医学部を卒業後、同大学院の医学研究科を修了。学問的な基盤を固めた後、帝京大学医学部附属病院で臨床助手を経て、順天堂大学医学部附属静岡病院で助教授を務めた。現在は、さぎぬま泌尿器科・美容クリニックの院長として、経験と知識を生かしている。医学博士、日本泌尿器科学会泌尿器科専門医(JUA Board Certified Urologist)。低侵襲治療の革新であるロボット支援手術の認定資格(da Vinci Certificate)も保持。日本抗加齢医学会、日本美容外科学会(JSAS)、日本美容外科医師会といった複数の学会にも所属し、抗加齢医学や美容外科の分野においても活躍している。

※この記事はメディカルドックにて<高齢者の包茎…介護者が知っておきたい基礎知識とサポート方法>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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