睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法ををご存知ですか? 食生活から治療法まで医師が解説

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を改善するためには、生活習慣の見直しが欠かせません。とくに、食生活の乱れや肥満はSASの大きなリスク要因となるそうです。さらに、SASの治療法として広く普及しているのがCPAP療法です。SASの改善方法や治療法について、「上福岡くろだ内科クリニック」の黒田先生に詳しくお話を伺いました。

監修医師:
黒田 直孝(上福岡くろだ内科クリニック 院長)
東京医科大学医学部卒業後、東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科に所属。昭島病院、仁和会総合病院糖尿病専門外来、医療法人みなとみらいなどで経験を積む。2020年、埼玉県ふじみ野市に「上福岡くろだ内科クリニック」を開院。専門分野である糖尿病や睡眠時無呼吸症候群をはじめ、大学病院や総合病院に近い検査を院内で実施し、一人ひとりに合った最善の治療を常に追求している。日本糖尿病学会専門医、日本内科学会認定内科医。日本内分泌学会、日本睡眠学会、日本禁煙学会、日本甲状腺学会の各会員。
編集部
睡眠時無呼吸症候群は、どのように症状を改善したらいいでしょうか?
黒田先生
まずは、食生活の乱れを解消することが先決です。先述したように、肥満は睡眠時無呼吸症候群の危険因子です。食べ過ぎを控えて、栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂るようにしましょう。また、アルコールの過剰な摂取も控えましょう。加えて、病院などで管理栄養士による栄養指導を受けることをおすすめします。
編集部
それでも改善が難しい場合は?
黒田先生
睡眠時無呼吸症候群の治療法として、「CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)」というものがあります。これは現在、欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。CPAP装置からエアチューブを伝って、鼻に装着したマスクから気道へと空気を送り込み、寝ている間に無呼吸の状態になることを防ぎます。
編集部
装着するだけで睡眠時無呼吸症候群が改善されるのですか?
黒田先生
そうです。それだけでなく、糖尿病も改善傾向になることが示唆されているデータもあります。睡眠時無呼吸症候群であり、なおかつ、糖尿病の傾向もある人にとって、CPAP療法はおすすめの治療法と言えるでしょう。
編集部
ほかには、どのような治療法が考えられますか?
黒田先生
解剖学的に気道が狭い場合は、咽頭や扁桃、鼻の手術などをおこなうことで、睡眠時無呼吸症候群を改善できることもあります。気になるようであれば、耳鼻咽喉科に相談してみるといいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
黒田先生
糖尿病と睡眠時無呼吸症候群の間には深い関わりがあることが問題視されています。その一方で、2つの病気を同時に診察し、トータルで対応してくれる医療機関は、それほど多くないのが現状です。しかし、別々の医療機関に通院する場合、通院記録や検査結果をもう片方へ提出しなければなりませんし、必ずしも医療機関同士の連携がスムーズに進むとは限りません。睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の両方が疑われる場合は、まとめて診察してくれる医療機関を探すと効率的だと思います。
※この記事はメディカルドックにて<「睡眠時無呼吸症候群になると糖尿病にかかりやすくなる」と言われているけど、どうしてなの?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。