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「お腹の不調」の対処法はご存じですか? 自宅でできるセルフケアや病院での治療法を医師が解説!

 公開日:2025/03/15
お腹の不調の対処法や医療機関で受けられる治療法 お腹の調子を整えるために自宅でできるセルフケア

便秘や下痢が続くと、お腹が張ったり苦しくなったりするだけでなく、ストレスに感じてイライラしたり、食欲がなくなったりと、心身ともに悪影響を及ぼします。そうしたお腹の不調は、もしかしたら腸の病気かもしれません。今回は、お腹の不調が生じた時の対処法、セルフケアなどについて、「天白宮田クリニック」の宮田先生に解説していただきました。

宮田 雅弘

監修医師
宮田 雅弘(天白宮田クリニック)

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藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)医学部卒業。名古屋掖済会病院、春日井市民病院で勤務した後、藤田保健衛生大学消化管内科助教および同大学医学部客員助教就任。2016年、愛知県名古屋市に「天白宮田クリニック」を開院。苦痛の少ない内視鏡を得意とし、胃腸のトラブル、生活習慣病、切り傷の治療など、幅広い症状に対応。地域住民のかかりつけ医として、地域医療に幅広く貢献している。日本消化器病学会専門医、日本外科学会専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本医師会認定産業医。

編集部編集部

お腹の不調に対する薬物治療について教えてください。

宮田 雅弘先生宮田先生

腸の運動を整える薬やビフィズス菌などの体にとって有用な働きをする菌の製剤(プロバイオティクス)、便の水分バランスを調整する薬などを用います。そのほか、下痢が続く「下痢型」や、便秘が続く「便秘型」など、症状に応じて薬を使い分けます。

編集部編集部

自宅で気をつけるべきことはありますか?

宮田 雅弘先生宮田先生

治療で重要なのは、食事療法と運動療法です。炭水化物や脂質を多く含む食事のほか、コーヒー、アルコール、香辛料などをたくさん摂ることで症状が悪化することもあります。そうした傾向がある場合には、それらの食品を控えるようにしましょう。また、適度な運動も症状を軽減するためには必要です。

編集部編集部

食事内容に気をつけることも大切なのですね。

宮田 雅弘先生宮田先生

はい、過敏性腸症候群の人は、「低フォドマップ食」を意識することも必要です。

編集部編集部

低フォドマップ食とはなんですか?

宮田 雅弘先生宮田先生

フォドマップは、小腸で吸収されにくい発酵性の糖質の総称です。次の頭文字を合わせてFODMAPと呼ばれています。

F(fermentable)発酵性の糖質
O(oligosaccharides)オリゴ糖(フルクタン、ガラクトオリゴ糖)
D(disaccharides)二糖類(ラクトース)
M(monosaccharides)単糖類(フルクトース)
And
P(polyols:ポリオール)糖アルコール

編集部編集部

具体的には、どのような食品を指すのでしょうか?

宮田 雅弘先生宮田先生

オリゴ糖では納豆、キムチ、小麦、玉ねぎなど、二糖類では牛乳やヨーグルトなど、単糖類では果物やはちみつなどがフォドマップ食として挙げられます。ポリオールではキシリトールやソルビトール、マッシュルームなどがあります。これらの食品は小腸では吸収されにくく、過度に取り過ぎると腸が過敏になったり、下痢、便秘などを引き起こしたりすることがあります。

編集部編集部

一般に、体に良いと言われるものが多いですね。

宮田 雅弘先生宮田先生

たしかに、これらの食品は通常、体に良いとされています。しかし、過敏性腸症候群の患者さんに限っては、体に悪影響をもたらすかもしれないと言われています。そのため、症状に困っている場合はこれらの食品を減らしてみるのも1つの手だと思います。

編集部編集部

そのほか、過敏性腸症候群の人が気をつけることはありますか?

宮田 雅弘先生宮田先生

過敏性腸症候群の人は健康な人と比較して、機能性ディスペプシアや胃食道逆流症を合併するリスクが2倍以上高いとされています。また、うつ状態や不安などの心理的な症状を合併することも多く、そのほか、潰瘍性大腸炎やクローン病が発見される確率も高いことがわかっています。気になる症状があれば、早めに専門医へ相談しましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

宮田 雅弘先生宮田先生

過敏性腸症候群は患者数が多い疾患ですが、一般の人にはなかなか理解されにくいものだと思います。しかし、放置すると日常生活に支障が出たり、QOLを低下させたりする原因になり得ます。困っている場合は、お早めに消化器内科へご相談ください。

※この記事はMedical DOCにて<お腹の不調は腸が原因? 消化器内科医が過敏性腸症候群などの病気と胃腸の調子の悪さからくる症状を解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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