「慢性腎臓病(CKD)」の治療法とは? 人工透析・腎移植・薬物療法の特徴を医師が解説!

新たな国民病ともいわれる「慢性腎臓病(CKD)」。自覚症状が乏しいため、気づいたらかなり病気が進行していた、ということも少なくありません。今回は、慢性腎臓病の治療には、食事療法以外にどのようなものがあるのか 東池袋きむら内科クリニックの木村先生にうかがいました。

監修医師:
木村 庄吾(東池袋きむら内科クリニック)
編集部
食事以外の慢性腎臓病の治療法はありますか?
木村先生
・血圧を調整する薬(降圧薬や利尿薬)
・腎臓の働きをサポートし、尿毒素を外へ排出することを促す薬(経口吸着炭素製剤)
・貧血を改善する薬(腎性貧血治療薬)
・体液量やイオンバランスを調整する薬(カリウム吸着薬、リン吸着薬、SGLT2阻害薬)
そのほか、糖尿病の方は血糖をコントロールする薬も必要です。
編集部
食事療法や薬物療法でも効果が期待できない場合はどうしますか?
木村先生
腎臓の機能がほとんど失われてしまった場合には腎代替療法といって、人工的に腎臓の働きを代替する治療が必要になります。具体的には透析療法や腎移植があります。
編集部
病期が進むとそのような治療が必要になるのですね。
木村先生
はい、いずれにしても一旦失われた腎臓の機能は再生されず、治療は「いかにして病気を進行させないか」ということに主眼が置かれます。そのため自覚症状がなくても慢性腎臓病と診断されたらできるだけ早めに治療を開始すること、そして定期的に検査を受け病態を確認しておくことが必要になります。
編集部
あらためて、どのように慢性腎臓病と向き合えばいいですか?
木村先生
慢性腎臓病に用いられる薬剤にはさまざまなものがありますが、なかでもSGLT2阻害薬は病気の進行を緩やかにする効果が認められ、近年注目されています。eGFRという検査数値が60未満の場合には保険適用となったこともあり、多くの方がこの治療を開始しています。eGFRの項目は、通常の健康診断では測定されていないかもしれませんが、血清クレアチニン値・年齢・性別の3つがわかればWEBサイトなどで計算式を調べることができ、ご自分でも数値を確認できます。通常eGFRは加齢とともに低下していきますが、1年に5以上数値が下がっている場合には慢性腎臓病の可能性があるので早めに専門医の診察を受けましょう。また、血清クレアチニン値は筋トレを習慣的に行っている方や、若い頃スポーツを熱心にしていた方の場合高値を示しやすいという特徴があります。その場合には、医療機関で運動履歴をお話しいただき、eGFR値を測定してもらうことをおすすめします。
※この記事はMedical DOCにて<新たな国民病? 「慢性腎臓病(CKD)」の治療法や食事・薬物療法を医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。