子宮内避妊リング「ミレーナ」の費用はいくら? オススメできない人や装着時の痛みも医師が解説!

避妊だけでなく、過多月経や月経困難症の治療にも有効な「ミレーナ」。子宮の状態や筋腫の有無により装着できない場合もありますが、保険適用で約1万3000円、避妊目的では3万5000~7万円程度で5年間有効です。今回は、ミレーナの費用や注意点について「泉医院」の泉先生に解説していただきました。

監修医師:
泉 康二(泉医院)
編集部
治療を行う上での注意点を教えてください。
泉先生
まれに気づかないうちにミレーナが取れてしまうことがあるので、きちんと定期検診を受けて装着状況を確認するようにしましょう。また、帝王切開後で子宮後屈がひどい場合、ミレーナの挿入が難しいことがあります。ミレーナを装着できない人もいるので、ご自分が適応かどうかは、事前に医師へ確認する必要があります。
編集部
どのような人が使用できないのですか?
泉先生
たとえば、子宮線筋症で子宮壁の厚さが、4~5cmを超える人や、筋腫のある場所が内膜に近い人、粘膜下筋腫がある人、内膜症嚢胞がある人、大きな筋腫がある人は、ミレーナが脱出するリスクが高くなります。そのためまずは診察を受け、ミレーナが使用可能かどうか、確認してもらいましょう。
編集部
装着をする際、痛みはありますか?
泉先生
経膣分娩の経験がある方は痛みが少なく、装着もスムーズです。しかし出産経験がない人や帝王切開で分娩した人は痛みが強いので、通常は事前にスポンジを圧迫したスティックを入れて子宮頸管を広くし、そのあとでミレーナを装着します。痛みが苦手な方は、痛み止めを服用してきた方がいいと思います。
編集部
ミレーナを使用することで月経前症候群(PMS)の症状も軽減されるのですか?
泉先生
いえ、残念ながらPMSには効果が期待できません。なぜなら、ミレーナを使っても卵巣からは黄体ホルモンが産生されているからです。そもそもPMSが起きるのは、黄体ホルモンの急激な変動が原因です。そのため、ミレーナを使用してもPMSの改善は期待できないのです。
編集部
ミレーナを使うことで月経がなくなるのですか?
泉先生
いえ、「ミレーナを使うと月経が来なくなる」と誤って理解している人も多いのですが、正しくは、9割ほどの人はミレーナを使っても月経はなくなりません。ただし、もともと子宮が小さい人は月経が来なくなる可能性もありますが、多くの場合、月経は楽になってもなくなることはありません。
編集部
治療の費用について教えてください。
泉先生
過多月経や月経困難症など保険適用の場合には、超音波検査などの事前検査を含み、3割負担で約1万3000円で、5年間有効です。また避妊目的で行う場合には自費となるため、医療機関によって異なりますが大体3万5000~7万円くらいで、こちらも5年間有効です。
編集部
あらためて、どのようにミレーナを受け止めればいいですか?
泉先生
ミレーナは非常にコストパフォーマンスがよく、すぐれた避妊方法です。ピルのように薬剤を服用する必要はありませんし、一度装着すれば基本的に5年間、避妊効果が持続します。ただし、正しく装着しているかどうか、定期的に確認することが重要です。当院では患者さんに対し、入れて1カ月目、3カ月目、その後は半年に一回検診を受けることをおすすめしています。感染症などの合併症が起きるリスクもあるため、定期的に医師の診察を受け、安全に活用するようにしましょう。
※この記事はMedical DOCにて【医師解説「子宮内避妊リング(ミレーナ)」は絶対避妊できる? 費用や副作用について】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。