白内障の眼内レンズで起きる「光のチラツキ」にはどう対処すればいい?【医師解説】
白内障の眼内レンズ、特に多焦点眼内レンズでは「光のチラツキ」を感じるそうです。その感じ方によっては仕事などにも支障をきたす可能性も考えられます。そんな光のチラツキにどう対応すればよいか、みずたに眼科の水谷先生に話を聞きました。
監修医師:
水谷 武史(みずたに眼科)
編集部
白内障用のレンズによっては、光のチラツキなどが出ると聞きます。
水谷先生
程度の差はあれど、そのような症状はあると思います。とくに、遠くも近くも見える「多焦点眼内レンズ」で顕著とされています。目に入ってきた光を「遠く用と近く用に分けて屈折させる」複雑な構造のため、自然に起こるチラツキなどが強調されると考えられています。昨今のレンズ性能は改良されてきていますが、それでも100%の防止ができるものではなく、感じ方も個人差があります。
編集部
そうなると、夜の運転で対向車のライトなどが気にかかります。
水谷先生
最初は違和感を覚えるかもしれませんが、半年もすれば慣れてくることが多いようです。ただし、まぶしさの感じ方は個人差があり、タクシーやトラックの運転手といった「夜の乗車が多い人」は、慎重に考えたいですよね。あくまで1つの選択肢ですが、多焦点眼内レンズにこだわらなければ、比較的光のチラツキが出にくい「単焦点眼内レンズ」と、見え方を補う「眼鏡」を組み合わせるのも1つの方法です。ただし、どんな眼内レンズがいいかは、それまでの見え方や年齢、ライフスタイル、仕事、趣味、運転の頻度などを考慮する必要があります。
編集部
総じて、他人を巻き込む仕事の場合、十分な配慮が必要だと?
水谷先生
そうかもしれません。仕事でなくても、夜間に運転される人も眼内レンズを選択する上で、「安全運転」は1つの基準になると思います。加えて、「単焦点眼内レンズ」の方がシンプルな構造をしているだけに、繊細な色彩感覚を伴う趣味・職業の人には適しているといえるかもしれません。その一方で、眼鏡の依存度を減らしてくれる「多焦点眼内レンズ」の利点や快適さは魅力的で、今後ますます普及していくと思われます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
水谷先生
多焦点眼内レンズで夜間の運転ができないのかというと、そこまでの話ではありません。実際、眼鏡に依存しない生活はストレスが少なく快適だと思います。他方で、眼鏡装用に慣れている人にとっては、単焦点眼内レンズの方が良好な視力を得られる場合も考えられます。総じて、誰にでも当てはまるような「これが正しい」という正解はないので、医師とじっくり話し合ってあなたのベストを考えましょう。
※この記事はMedical DOCにて【白内障手術を受けた直後は、車の運転ができないのはどうして? 免許更新が近い場合はどうすればいい?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。