大腸カメラで「異常」はどれくらい発見できるの? 内視鏡専門医の見解とは?
大腸カメラで異常が見つかる確率は、「概ね40~50%と言われている」そうです。だからと言って、大腸カメラに見逃しがないわけではないと東京内視鏡クリニックの工藤先生は言います。その理由を詳しく教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて《大腸カメラの「死角」とは? 内視鏡検査を毎年受けることが重要なワケ【医師解説】》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
工藤 豊樹(東京内視鏡クリニック)
編集部
大腸内視鏡検査について教えてください。
工藤先生
カメラを使って、視覚的に大腸の内部を観察できる検査です。肛門から直径1cm程度のスコープを挿入して、大腸全域の内部を診ていきます。映像は、画質の良いハイビジョンモニタで見られますので、小さな粘膜の変化も確認できます。
編集部
どんな病気がわかるのですか?
工藤先生
粘膜の色や形状などを直接観察できるので多くの情報を得ることができ、大腸ポリープや潰瘍性大腸炎、大腸憩室症など、さまざまな病気を発見することができます。それだけではなく、必要であればポリープなどをその場で切除することもできるのです。
編集部
どのくらいの確率で、異常が発見されるのでしょうか?
工藤先生
異常所見の種類や程度によって変わるので、一概に「このくらいの確率」とはいえませんが、例えば大腸ポリープの発見は、「腫瘍性病変」発見率であるADR(Adenoma Detection Rate)という用語で表され、よく用いられています。施設などによってばらつきはありますが、日本では概ね40〜50%程度と言われています。
編集部
そんなに高い割合で発見されるのですね。
工藤先生
そのように驚かれる方が多いですね。しかし、内視鏡専門医として皆さんにお伝えしたいのは「高確率で発見される」イコール「見逃しがない」ではないということです。むしろ、大腸という臓器の特性上、病変があっても気が付けないことがかなり多くあります。